野球愛が彩る食堂、三春町に新たな拠点が誕生
三春町の中心街から少し離れた国道288号沿いを車で走ると、目に飛び込んでくるのは野球のホームベースが描かれたユニークな看板です。その看板が示す先にあるのは、時代の変化に合わせて生まれ変わった食堂「三春キッチンベース」。2024年11月のオープンから約1年が経過した今、地域で評判を呼び、昼時にはカウンター席やテーブル席、座敷が満席になるほどの人気を博しています。
事業継承で受け継がれる味と新たな挑戦
この店は、同じ場所で約48年間営業を続けてきた老舗食堂「ふる里」を、代表の大内広信さん(46)が事業継承したものです。大内さんは子どもの頃から親しんでいた店で、「母親が近くで働いていて、父親と一緒にご飯を食べながら待っていた思い出の場所。閉店の話を聞いた時はショックでした」と振り返ります。その後、店主が後継者を探していると知り、飲食店経験があった大内さんが手を挙げ、地元に愛されてきた食堂の灯を消さない決断をしました。
継承にあたっては、「おろしヒレカツ定食」などの人気メニューを残しつつ、新たにボリューム満点の定食を導入。特にハンバーグ定食は、牛豚合いびき肉を使用し、150グラム、300グラム、450グラムの3サイズから選べるようにしました。料理担当の店長、上国料多希さん(53)は「女性客でも450グラムをペロリと平らげる方もいますよ」と笑顔で語ります。また、チーズハンバーグ定食はトロトロのチーズがたっぷりかかり、見た目から食欲をそそります。夜には町の特産ピーマンを使ったご当地グルメ「三春グルメンチ」やアルコールを提供し、地域のイベント時には団体客の弁当注文にも対応するなど、多様なニーズに応えています。
地元の仲間たちに支えられた開業への道のり
しかし、店の開業には大きな課題が立ちはだかりました。古くなった建物の修繕や設備の改修に想定以上の作業と資金が必要だったのです。そんな時、力を貸してくれたのが地元の仲間たちでした。改修を全面的に請け負った建設業の同級生、開業資金の調達や経理面をサポートした元銀行員のライフプランナーなど、多くの人々がオープンを後押し。管理栄養士として働いていた上国料さんも熱心な勧誘を受け、地元を盛り上げようと参加を決めました。大内さんは「まだ試行錯誤の連続ですが、多くの後押しがあって開店できたことに感謝しています」と感慨深げに話します。
野球をテーマにした店内のこだわり
店名の「キッチンベース」は、野球と三春町をこよなく愛する大内さんが名付けました。「食の基地、心のよりどころになれればうれしい」という思いが込められています。店内には少年野球の指導者でもある大内さんの野球愛が随所に散りばめられており、特にカウンター席のいすは本物の野球ベースをクッションに再利用。背もたれには守備位置が記載されており、客がお気に入りのポジションに座れる遊び心も光ります。
これからも、多くの人々が集う食堂として、地域の物語を紡ぎ続けていく「三春キッチンベース」。その活躍に、今後も注目が集まりそうです。



