フィルム映写機が現役、老舗「早稲田松竹」のレトロな魅力 学生と地域が支える名画座
フィルム映写機が現役、早稲田松竹のレトロな魅力

東京都新宿区高田馬場にある老舗映画館「早稲田松竹」では、現役の35ミリフィルム映写機2台が今も回り続けている。約2メートル四方の映写室で、映写機の光がスクリーンに届き、カタカタという機械音とともに物語が始まる。スクリーン右上に一瞬浮かぶフィルムのつなぎ目を示す黒丸や、画面の揺れ、雨のような筋も、フィルムならではの味わいだ。

フィルム映写の魅力と技術

映写技師の荒井南さん(42)は「フィルムの良さは心に迫る映像になること」と語る。デジタル映画に比べ、黒と青が色濃く浮かび上がるのが特徴だという。フィルムでしか残っていない名作を守るため、荒井さんは日々映写機の手入れに余念がない。

早稲田松竹は1951年(昭和26年)に松竹映画の新作を披露する「封切館」として開館。その後、名作を2本立てで上映する「名画座」の企画が1975年頃から始まり、かつては約300円で1日鑑賞できた自由席が映画ファンに親しまれてきた。

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学生と地域の復活運動

2002年、経営難で休館した際には、近隣の早稲田大学の学生らが復活を求め、チラシ配りなどで文化的価値をアピール。翌2003年1月の再開を後押しした。2017年からは学生制作作品の上映も行い、地域との縁は続いている。支配人の平野大介さん(51)は「フィルムの良さを後世に伝えたい」と話す。

コロナ禍と新たな試み

2019年に支配人となった平野さんは、新型コロナウイルス禍で客の距離を確保するため指定席を導入。2024年には約20年ぶりの値上げを実施した。一方、先月からは4Kプロジェクターを配備し、最近の人気作も上映しやすくなった。名画座としては難しい決断だったが、平野さんは「映画を楽しむ幅が広がった」と前向きに捉えている。

かつて封切りより少し遅れて上映する「2番館」「3番館」など多様な映画館が並んだ時代は過ぎたが、早稲田松竹ならではの魅力は変わらない。常連客の一人は「不朽の名作を通して知らない価値観に出会えるのが楽しさ。今後も残り続けてほしい」と願っている。

周辺の楽しみ方

早稲田松竹から西へ歩くと、1928年(昭和3年)創業の茶葉専門店「茶のつたや」がある。3代目店主の清水克弘さん(67)がシェーカーで入れる「冷抹茶」や、白玉ぜんざいとミニ抹茶のセットが人気。早稲田松竹は飲食物の持ち込みが自由なため、抹茶を手に鑑賞する常連客や、業務の合間に買い出しに来る従業員もいるという。平日は客の6割が外国人で、最近は抹茶の飲み比べをする人も多い。清水さんは世界的な抹茶ブームを喜びつつ、「お茶を楽しみたいという人がもっと増えるよう、店も続けていきたい」と意気込む。

施設情報

住所:東京都新宿区高田馬場1の5の16。アクセス:東京メトロ東西線高田馬場駅から徒歩3分。不定休。料金は2本立てで一般1500円、学生1200円、シニア・小学生1100円(いずれも税込み)。問い合わせ:03-3200-8968。

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