東芝は、次世代パワー半導体事業において、2030年までに世界シェア30%を獲得する目標を掲げた。同社は、炭化ケイ素(SiC)や窒化ガリウム(GaN)といった次世代材料を用いたパワー半導体の生産を強化し、電気自動車(EV)や産業機器向け需要を取り込む戦略だ。
新工場建設と研究開発投資
東芝は、石川県の工場に新たなSiCパワー半導体の生産ラインを設置し、2025年までに量産を開始する計画。また、GaNパワー半導体については、2024年中にサンプル出荷を開始し、2026年には量産化を目指す。これらの投資総額は約1000億円に上る見込み。
同社のパワー半導体事業責任者は、「EV市場の急成長に伴い、高効率なパワー半導体の需要が急増している。当社は、SiCとGaNの両方で競争力のある製品を提供し、2030年までに世界シェア30%を達成する」と述べた。
EV市場の成長と競争環境
世界のパワー半導体市場は、EVや再生可能エネルギーの普及を背景に、2025年には約5兆円規模に拡大すると予測される。特にSiCパワー半導体は、EVのインバーター向け需要が牽引し、年平均成長率30%以上で成長する見通し。
競合では、独インフィニオンテクノロジーズや米オンセミなどが先行するが、東芝は独自のトレンチゲート構造技術で差別化を図る。同技術により、従来比で電力損失を20%低減し、EVの航続距離を延ばすことが可能になるという。
業績への貢献と今後の見通し
東芝は、パワー半導体事業を成長戦略の柱の一つに位置付けており、同事業の売上高を2025年度に現在の2倍の2000億円に引き上げる計画。2030年には、世界シェア30%を達成し、売上高5000億円を目指す。
ただし、SiCやGaNの製造プロセスは複雑で、歩留まり向上が課題。東芝は、製造技術の改良と量産効果により、2025年までにコスト競争力を確立する方針だ。



