夫の兼次さん急逝で工房解体も…7年ぶりに絵付け再開、素焼き人形に筆執る 佐土原人形の伝統守る阪本さん
夫の急逝で工房解体も…7年ぶりに絵付け再開 佐土原人形の伝統守る阪本さん

佐土原人形店「ますや」を夫の兼次さんと共に守ってきた阪本さん。約30年前、夫の定年を機に大阪府から移住し、兼次さんの実家が営む「ますや」を引き継いだ。人形を焼く夫と絵付けを担う妻の二人三脚で腕を磨き、2011年には兼次さんが県の伝統工芸士に認定された。2人とも高齢になったことから、2018年ごろに第一線を退いた。

夫の急逝、工房解体から再開へ

大きな転機は2024年4月。兼次さんが亡くなり、工房を取り壊すつもりで在庫の整理を始めた。その中で、彩色前の素焼き状態のまま残された大量の人形が見つかった。どう処分するか悩んだ末、「捨てるのはもったいない」と試しに一つ塗ってみると、気がつけば夜遅くまで夢中で筆を動かしていた。

存続を願う地域住民や取引先の声に背中を押され、再開を決断。7年ぶりに絵付けの筆を執り、米寿を控えた今も体調は良く、伝統を次世代へつなぐ挑戦に取り組んでいる。

Pickt横長バナー — Telegram用の共同買い物リストアプリ

江戸時代から続く「佐土原人形」

佐土原人形は、400年前の江戸時代から続くと伝わる宮崎県伝統的工芸品。佐土原藩の城下町として大衆文化が栄えた宮崎市の旧佐土原町で、節句や歌舞伎、干支にちなんだ動物の姿をかたどってきた。素材の土の質感や温かみのある彩色が特徴で、1800年代創業の「ますや」が代々、伝統工芸の技を受け継いできた。

代表作は「饅頭喰い」

佐土原人形の代表作が、饅頭を手にする女児を表した「饅頭喰い」と呼ばれる人形。「父と母のどちらが好きか」と問われ、饅頭を二つに割って「どちらがおいしいか」と答えた逸話に基づく。「2人で一人前」が口癖だった兼次さんの姿が脳裏に浮かんだ。

Pickt記事後バナー — 家族イラスト付きの共同買い物リストアプリ