広島県竹原市の大久野島は、年間約20万人が訪れる「うさぎの島」として知られる。しかし、観光客が島に立ち寄るだけで、地元経済にはなかなか還元されていないという課題がある。
「素通り」から「滞在」への転換
竹原市の観光振興を担う竹原DMOは、観光客の「素通り」から「滞在」への転換を目指し、さまざまな取り組みを進めている。その鍵となるのが情報発信だ。
竹原DMOの川田直弥さんは「今はAIに旅行プランを聞く人が増えています。そのAIが参考にするのはWeb上の情報ですから、竹原観光に関する情報発信が重要です。そう考えて、SNSでの発信や竹原観光のモデルコース提案などに注力しています」と話す。
多様な客層への対応
増加するインバウンド客に対応するため、多言語表記はもちろん、ヴィーガンやベジタリアンが食事できる場所づくりにも取り組む。飲食店と一緒にメニュー開発をした結果、ヴィーガンメニューがある飲食店は市内15軒になった。
そのほか、ガイドの育成や近隣地域のDMOとの連携など、さまざまな手段で、大久野島と竹原、そして瀬戸内全体が豊かになる方法を探っている。
「子どもたちが帰ってきたいと思う町に」
川田さんは「私たちがしてきたのは、地域の旗振り役となること、地域の皆さんとともにプレイヤーとして一緒に汗をかくことです。竹原を、子どもたちが帰ってきたいと思う町にしたいんですよ」と語る。
2026年7月の竹原市によるプレスリリースによると、2023年から2025年にかけ、大久野島だけでなく竹原市への観光客は増加が続いた。円安とゴルフツーリズム需要を背景とした、外国人観光客の増加も顕著だ。観光消費額は3年連続で過去最高を記録している。
20万人の観光客を呼ぶうさぎと、毒ガスの歴史、そして地元の経済。「地図から消された島」でそのすべてが共存できる未来はあるのか。挑戦の答えが、今、少しずつ見え始めているのかもしれない。



