丹下健三氏設計の旧香川県立体育館、解体工事が正式に着手される
世界的建築家である故・丹下健三氏が設計した旧香川県立体育館(香川県高松市)について、香川県は4月10日、解体工事に着手したことを明らかにしました。県は地震による倒壊の危険性を主な理由として、この歴史的建造物の解体準備を進めてきました。
保存を求める声と県の決断
文化的価値が高いとして、地元の建築家らで構成される団体が昨年夏以降、県に対して保存や利活用に向けた協議を行うよう強く要請していました。しかし、県側はこれらの要請に応じることはなく、解体の方針を貫くこととなりました。
10日午前には、解体を担当する業者が敷地周辺の植栽の撤去作業を開始。工事に反対する市民らが現場を訪れ、県職員に対して抗議の意思を示す場面も見られました。県の計画によれば、来月には内装の取り外し作業を進め、9月には建物本体の解体を本格的に始める予定です。そして、来年9月までには更地化を完了させるとしています。
「船の体育館」としての歴史
旧香川県立体育館は1964年に完成しました。曲線を描く特徴的な外観から、地元では「船の体育館」として親しまれてきました。しかし、屋根落下の危険性が明らかになったことを受け、2014年に閉館に至っています。
今回の解体決定は、建築物の安全性と文化的遺産の保存という難しい課題を浮き彫りにしています。県は倒壊リスクを優先した判断を示しましたが、建築関係者や保存を望む市民からは、貴重な建築資産が失われることへの惜しむ声が上がっています。



