ライプニッツの輝ける7日間:最善の世界を求めた思想家の人生を描く独創的評伝
ライプニッツの7日間:最善の世界を求めた人生評伝

ライプニッツの輝ける7日間:思想家の人生を七つの日で浮き彫りに

ミヒャエル・ケンペ著『ライプニッツの輝ける7日間』(新潮クレスト・ブックス)は、近世の思想家ゴットフリート・ヴィルヘルム・ライプニッツの人生を、29歳、39歳、50歳、56歳、63歳、68歳、70歳のそれぞれ一日ずつに焦点を当てて描く、独創的な評伝である。著者のケンペは1966年生まれの歴史学者で、ドイツのゲッティンゲン科学アカデミー・ライプニッツ研究所所長を務める。本書は、ライプニッツが残した膨大な書簡やメモの分析に基づき、その全貌解明にはなお50年を要すると言われる中で、ポイントとなる七つの日を通じて彼の姿を立体的に浮かび上がらせる。

七つの日が示す創造的な軌跡

本書で描かれるライプニッツの人生の一日は、多岐にわたる業績を象徴する。若き日に積分記号「∫」を考案した日、『形而上学叙説』の37の命題を記した日、夢や無意識について考察し後代の精神分析に影響を与えた日、二進法の情熱に中国の易経が光を当てた日、女教皇の虚実を検討し可能世界について思索した日、イギリスのアン女王の死で社会が動揺する中で旅立ちを準備した日、そして最晩年に人生を再考した日である。これらの日々は、ライプニッツが数学、哲学、歴史、文化にまたがる広範な活動を展開したことを鮮明に示している。

最善の世界を求める思想の背景

ライプニッツの思想として有名な「すべての可能な世界の中で最善の世界」という言葉は、後に啓蒙主義者ヴォルテールが『カンディード』で冷笑的に批判したことで広まった。しかし、本書はライプニッツ自身がこの表現を一度も使っていない可能性を指摘しつつ、最善の可能性を追求し続けた彼のエネルギーを丁寧に拾い集める。読者は、思想形成の背景や当時の状況を考察する機会を得られ、ライプニッツの創造的な生き方に魅了されるだろう。

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森内薫による翻訳で、価格は2640円。読後には無性に創造的な生き方を求めたくなる、魅惑的な一冊である。書評はロシア文学研究者の奈倉有里が担当し、1982年生まれの彼女は『夕暮れに夜明けの歌を 文学を探しにロシアに行く』で紫式部文学賞、『アレクサンドル・ブローク 詩学と生涯』でサントリー学芸賞を受賞している。

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