任侠電器第5回:永神健太郎の来訪で新たな面倒事が始まる
午後三時前、日村は阿岐本から呼び出しを受けた。奥の代表室に向かうと、阿岐本が言った。
「じきに、永神が来る。なんか話があるそうだから、おめえもいっしょに聞いてくれ」
日村は心の中で思った。「来たな」。永神健太郎は、阿岐本の五分下がりの兄弟分であり、日村たちにとってはオジキに当たる存在だ。
永神の話はいつも面倒事の前兆
永神が話があるというときは、ろくなことがないと日村は確信している。決まって阿岐本が面倒事に巻き込まれ、正確に言えば、その面倒事を押しつけられるのは日村自身なのだ。阿岐本はそれほど迷惑だとは思っていないようで、むしろ楽しんでいる節さえある。
「また、何かを立て直すって話でしょうか?」
これまで、永神と阿岐本は出版社、私立高校、病院、銭湯、映画館、果てはオーケストラや寺や神社に関わってきた。いずれも経営難や面倒事に見舞われた組織を、何とか立て直してきた実績がある。
阿岐本は軽く答えた。「さあな」。この一言が、新たな騒動の始まりを暗示していた。
日村の困惑と阿岐本の余裕
日村は内心でため息をついた。永神の来訪は、またしても自分が奔走する羽目になることを意味していた。一方、阿岐本は平静を装い、むしろこの状況を楽しんでいるように見えた。この対照的な二人の反応が、物語の緊張感を高めている。
永神が持ち込む話は、どんな経営難の組織を救うことになるのか。日村の困惑と阿岐本の余裕が交錯する中、新たな冒険が始まろうとしていた。



