韓国・釜山で開かれた国連教育・科学・文化機関(ユネスコ)の世界遺産委員会で、「飛鳥・藤原の宮都」(奈良県橿原市、桜井市、明日香村)の世界文化遺産登録が決まった。「日本」の始まりの地が世界の宝として認められた形だ。
地下に眠る遺跡をデジタルで再現
「飛鳥・藤原の宮都」の構成資産は、地下に埋もれた遺跡が多く、飛鳥時代の姿を想像することは難しい。地元ではAR(拡張現実)やVR(仮想現実)といったデジタル技術を活用し、訪れた人に歴史的価値を体感してもらおうと工夫を凝らしている。
橿原市の取り組み
橿原市は2025年度、構成資産の一つ、藤原宮跡をARやVRで体験できるアプリ「XR藤原宮」を作った。藤原宮の中心部など約10万平方メートルをコンピューターグラフィックス(CG)で復元し、スマートフォンなどを使って散策しながら体験できる。今後、同市の本薬師寺跡でも制作予定だ。横関明世・同市世界遺産登録推進課長は「現状と当時の華やかな宮殿の様子を重ねて見ることができる。訪れた人の理解も進むのでは」と語る。
明日香村の取り組み
明日香村は05年度、東京大と連携して遺跡の往時の姿をCGで再現する「バーチャル飛鳥京」を開発。構成資産の石舞台古墳などのAR、VRをアプリで公開している。今年度は世界遺産登録を踏まえた内容に見直し、飛鳥京跡苑池など3遺跡の追加を計画する。真の斉明天皇陵とみられている同村の牽牛子塚古墳では、隣接する越塚御門古墳の石室内部で斉明天皇の生涯を紹介する映像も流している。
桜井市の取り組み
桜井市も22年度に、山田寺跡のAR、VRのアプリを公開。倒壊した状態で出土した東回廊を含め、伽藍全体を見ることができる。
アプリ統一化の課題
ただ、3市村が別々にアプリを開発したため、閲覧にはそれぞれのアプリが必要だ。森川裕一・明日香村長は「利便性を考えれば、アプリの相互乗り入れや統一したソフト開発などが必要になるだろう」と話す。



