米下院は9日、中国製の無人機(ドローン)を政府機関が調達することを禁止する法案を超党派の支持で可決した。国防権限法の一部として盛り込まれたこの措置は、中国政府がドローンメーカーを通じて機密情報を収集している可能性があるとの安全保障上の懸念に基づく。
法案の内容と背景
この法案は、国防総省や国土安全保障省など連邦政府機関が中国製ドローンを購入することを禁じるもの。対象となるのは、中国のドローン最大手DJI(大疆創新科技)を含む中国企業の製品だ。DJIは世界のドローン市場の約7割を占めており、米国の消防や警察、インフラ点検などでも広く使われている。
法案を提出したマーク・グリーン下院議員(共和党)は「中国のドローンは国家安全保障に対する明白な脅威だ。我々は連邦政府のサプライチェーンからこれらの機器を排除しなければならない」と述べた。
可決までの経緯
この問題は近年、米国政府内で議論が続いてきた。2020年にはトランプ前政権が国防総省によるDJI製品の購入を禁止する規則を提案。しかし、その後バイデン政権下で審査が進められていた。今回の法案可決で、連邦政府レベルでの中国製ドローン排除が本格化する見通しだ。
超党派の議員らは、中国製ドローンが米国の重要インフラのデータを収集し、中国当局に送信するリスクを指摘。DJIはこれに対し、自社製品のデータセキュリティを強化する措置を取っていると反論している。
市場への影響
この法案が成立すれば、米国市場での中国製ドローンの販売に大きな打撃となる。特にDJIは米国市場向けに企業向けドローンを多く販売しており、売上減少は避けられない。一方、米国や他の同盟国のドローン企業にとってはビジネスチャンスとなる可能性がある。
法案は上院での審議を経て、成立すれば大統領の署名が必要となる。バイデン政権はこれまで中国に対する強硬姿勢を示しており、署名する可能性が高いとみられる。
中国側の反応
中国外務省はこの動きを強く非難。商務省の報道官は「これは市場原理に反し、国際貿易のルールを損なうものだ。中国企業の正当な権益を守るために必要な措置を取る」と述べ、対抗措置を示唆した。
DJIも声明を発表し、「我々の製品は世界で最も安全で信頼性が高い。この法案は誤った情報に基づいており、米国の消費者や企業に不利益をもたらす」と反論した。



