磁気テープ規格「LTO」を推進するHewlett Packard Enterprise(HPE)、IBM、データストレージベンダーのQuantumの3社は2026年9月1日、テープ媒体の四半期出荷レポートを発表した。2026年第1四半期のLTOテープ出荷容量は前年同期比57%増と大幅に伸びた。
LTO(Linear Tape-Open)は、3社が共同で策定と改良を続ける磁気テープストレージのオープン規格だ。年間の出荷容量を見ると、2024年は前年比15.4%増の176.5エクサバイト(EB。1EBは100万TB)と過去最高を記録した。2025年は9%減の160.3EBに縮小したものの、2024年に次ぐ水準を保った。
テープ回帰を加速する「3つの原動力」
磁気テープは「枯れた技術」と見られることも多い。それでも直近の出荷は大きく伸びた。企業がテープに回帰する背景には何があるのか。
Quantumのトップが挙げるのは、コスト、エネルギー、サイバーレジリエンスの3つの原動力だ。サイバーレジリエンスとは、サイバー攻撃を受けることを前提に、データや事業を守り、迅速に復旧する能力を指す。
Quantumのユーグ・メイラスCEOは次のように述べた。
「かつてないデータの増加に加えて、コスト、エネルギー、サイバーレジリエンスを巡る原動力が業界全体で高まっている。組織がこの新しい現実に適応する中で、テープは予測可能な経済性と、大規模で信頼性の高い長期データ保持を提供する、現代のデータインフラの戦略的な構成要素と見なされつつある」(メイラス氏)
LTO-9の好調とLTO-10の投入
第1四半期の伸びを直接支えたのは、現行世代「LTO-9」媒体の好調な出荷と、次世代規格「LTO-10」の投入と立ち上がりだ。2026年初めには非圧縮で40TBを記録できる新カートリッジが登場し、市場の関心を高めたという。
LTOプログラムによると、LTO-10は非圧縮30TBと40TBの2つの容量を用意し、圧縮時は最大100TB、転送速度は毎秒400MBに達する。
2026年は過去最高を更新するのか
ストレージ分野の調査会社Coughlin Associatesのトム・コフリン氏(社長)は「AIワークロードを支えるあらゆる種類のストレージの増強と、従来型のアーカイブワークロードの伸びに支えられ、テープは中核的かつ戦略的なストレージソリューションであり続けている」と指摘した。一方で同氏は、国際的な脅威環境の変化が企業の慎重な購買行動につながったと述べた。この不確実性が解消されればテープ市場の強さはより明確になるとの見方だ。データセンター建設で電力の確保が制約となる中、同氏は「あらゆるストレージ媒体の中で最も消費電力が少ない」テープを構成に組み込む動きが広がると見ている。
LTOプログラムは今回の結果について、多くの顧客がテープインフラの拡張に取り組み、プライマリストレージやセカンダリストレージを補完する技術としてテープを位置付けていることを裏付けるものだとしている。テープはTB当たりのコストが低く、電力効率にも優れるとし、既存世代の利用者の更新と新規採用が重なることで、2026年の出荷容量は過去最高を更新すると予想した。



