JR東海とJR西日本は10月、東海道・山陽新幹線にグリーン車を超える設備とサービスの個室「スプリームクラスキャビン」を導入する。国内外の要人の利用も多い東海道・山陽区間では、最上級の「おもてなし」を追求してきた歴史がある。1960年代には、今回のサービスの「原点」とも言える特急用車両もあった。
個室の設備とサービス
7月上旬、JR西は新神戸―博多間で、報道関係者にスプリームクラスキャビンを公開した。個室は「N700S」(16両編成)のうち7、10号車に1室ずつ設ける。海側に設置された7号車には座席に加えてソファが設置され、2人で利用できる。山側の10号車は1人用となっている。
座席には、スピーカー付きのヘッドレストや、脚部を支えるレッグレストも備わっている。座席の角度、照明、空調は専用タブレットで調整できる。窓ガラスには、鉄道車両として世界初という5G対応アンテナが設置され、安定した通信環境も整っている。
JR西が保有する車両では、壁面の飾りに江田島紙布(広島)、金襴(岡山)など沿線の伝統工芸品をあしらった。乗車時には、パーサーがウェルカムサービスとして飲み物や菓子を届ける。
料金と予約方法
JR西の宮内栄治・新幹線企画部長は「乗客のニーズを探り、快適性やプライベート感を追求した。個室が、お客さまの旅や移動の目的となることを目指したい」と話した。予約は、インターネットサービス「エクスプレス予約」「スマートEX」で受け付ける。主な料金は、広島―東京間(片道、エクスプレス予約)で、7号車が8万6240円、10号車が5万9640円となっている。
JR西は新しいサービスを一足早く体験してもらおうと、今月22~27日午前11時~午後7時、広島駅北口1階イベントスペースで、スプリームクラスキャビンの実物大模型を展示する。
1960年代の豪華車両
1960年代には、東海道線の特急電車に、4人用個室や1人掛けシートが並ぶ「パーラーカー」と呼ばれる車両が組み込まれた。東京―大阪間の特急「つばめ」「はと」が、60年に客車から特急用電車の151系に置き換わった際、下り方の先頭にパーラーカーが連結された。携帯電話もない時代だったが、専用の電話機を使って自席から通話でき、飲み物やクッキーも提供された。2年後には広島まで乗り入れた。
64年に東海道新幹線が走り始めると、パーラーカーの活躍の場は、主に山陽線に移り、新大阪―下関間の特急「しおじ」などとして使われた。だが、利用者のニーズが変わり、73年に通常の座席車へ改造された。海外から訪れた要人らが利用するため防弾ガラスを装備した車両もあり、現在も名車として語り継がれる。京都鉄道博物館(京都市下京区)には、パーラーカーの1人掛けシートが保存され、151系先頭車の実物大模型も展示されている。



