SB C&S、AWS MarketplaceでRed Hat製品の取り扱い開始 DSORモデルで国内初
SB C&S、AWS MarketplaceでRed Hat製品の取り扱い開始

SB C&Sは2026年6月、AWS Marketplaceにおいて「Designated Seller of Record」(DSOR)モデルを活用し、国内初となるRed Hat製品の取り扱いを開始した。DSORモデルとは、DSOR資格を持つディストリビューターがISV(独立系ソフトウェアベンダー)の代わりにAWS Marketplaceで製品の出品や販売、請求管理を代行し、販売パートナーを通じてエンドユーザーに届ける仕組みだ。

このスキームの確立に伴い、SB C&Sは「〜Red Hat最前線〜 AI・セキュリティの未来を担う戦略商材をAWS Marketplaceの新チャネルでどう届けるか」を開催した。本稿はこのセミナーから、AWS Marketplaceを活用することで販売パートナーやユーザー企業が得られるメリット、ディストリビューターとしてハブの役割を担うSB C&Sの支援体制、Red Hatの最新ポートフォリオを報告する。

調達プロセスを効率化 ユーザー企業とチャネルパートナーを引き込むAWS Marketplaceの実力

AWS Marketplaceは、ユーザー企業がソフトウェアやサービスを一元的に選定、購入、導入、運用管理できるデジタルカタログだ。グローバルでの出品製品数は3万件以上、ビジネスに参加するISVパートナーは6000社以上、チャネルパートナーは3500社を超えるなど、年々拡大している。

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「AWSを活用しているトップ1000社の約99%以上がAWS Marketplaceで製品を調達しています。ユーザー企業の調達行動は、すでにAWS Marketplaceを前提にした購買に変化しています」とアマゾン ウェブ サービス ジャパンの古田嘉道氏は話す。

古田氏は、ユーザー企業がAWS Marketplaceを利用するメリットとして、調達プロセスの効率化と予算の最適化を挙げる。新規にソフトウェアを導入する場合、通常であれば個別ベンダーごとに新規口座開設や社内稟議といった手続きが発生し、調達までに時間を要することが多い。AWS Marketplaceを利用すれば、AWSから一括で請求や支払いをまとめられるため、個別ベンダーとの調達工数を削減できる。また予算管理においても、AWSのインフラサービスと、AWS Marketplaceを通じて購入するソフトウェア製品を統合することで、柔軟な運用が可能となる。

AWS Marketplaceは日本市場への対応も強化している。日本円での請求、日本の消費税に合わせた適格請求書の一括発行、製品情報の日本語表示などが可能だ。

チャネルパートナーにとって、AWS Marketplaceへの参加はビジネスを成長させ、販売活動を効率化させるメリットがある。古田氏はそのポテンシャルを次のように強調する。

「昨今のエージェンティックAI分野の成長やクラウド環境の複雑化によって、お客様がパートナーによるインテグレーションや運用サービスに依存する傾向はさらに強まっていくと考えられ、市場におけるチャネルパートナー様の重要性が拡大しています。AWS Marketplaceをご利用いただくことで、AWS の基幹基盤を利用したフィールドセールスとの共同販売活動を効率的に展開でき、チャネルパートナー様のビジネス機会の創出に貢献します。また、請求をAWS Marketplaceに集約することで受注や契約にかかる業務プロセスを効率化し、成約までの時間を短縮できます。DSORモデルを活用すれば、既存の商流やディストリビューターによる支援を維持したまま、ビジネス展開が可能になります」

DSORモデルの利用によって、ISVは国内市場での展開や販売オペレーションを効率化でき、販売パートナーは既存の基幹接点や商流を維持しながらAWS Marketplaceという新しいチャネルを取り込める。ユーザー企業にとっても、AWSの利用料とソフトウェア調達を一元化してより迅速にソリューションを導入できる。

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AWS Marketplaceのハブになる SB C&S がDSORモデルでRed Hat製品を届ける価値

SB C&Sは、AWS Marketplaceを単なる新しい販売チャネルではなく、ベンダーやISV、販売パートナー、ユーザー企業をよりスムーズにつなぐための新たなビジネス基盤と捉えている。2025年11月にDSOR認定を取得した同社は、国内のIT流通で長年培ってきたディストリビューターとしての知見、販売パートナーとのネットワーク、技術支援や販売推進の体制を生かして、AWS Marketplaceで契約から価格、オペレーションまで一括して提供する「ハブ」になることを目指す。

その一環として、AWS Marketplaceを通じてRed Hat製品の提供を開始した。Red Hatとの取り組みについて、SB C&Sの室井洋一氏は次のように語る。

「当社はRed Hat製品について、エキスパートレベルの技術支援、販売推進、業務オペレーション体制を確立してきました。運用業務や案件推進も含めて総合的に支援しています。仮想化統合やコンテナ化を体験できる『Red Hat OpenShift Virtualization』のワークショップや講習会も実施しています」

DSORモデルを活用してRed Hat製品を取り扱う販売パートナーのメリットについては、「AWSやレッドハットとの共同提案の機会を広げられるのはもちろん、プライベートオファーを利用することで、ユーザー企業に柔軟な価格や条件を提示できます。レッドハットならではの特典である『Deal Registration』(案件特別値引き。以下、DR)承認によるディスカウントも適用できます。AWS Marketplaceはこれまで築いてきた基幹接点や提案力を拡張し、市場を開拓するための新たな武器になると確信しています」と話す。

まだAWS MarketplaceやRed Hat製品のビジネスを始めていない販売代理店に対しても、セラー登録の支援や条件書の締結、レッドハットのリセラー登録、トレーニング資格の取得などSB C&Sが一括してフォローする。「SB C&Sは、販売パートナー、ISV、AWSと密に連絡し、ユーザー企業の皆様が安心してソリューションを導入、運用できる環境づくりを支援します」

市場の課題に応える「無期限延長サポート」 新チャネルがもたらす勝機

販売パートナーがDSORモデルを通じてRed Hat製品を提供する場合、同社独自のパートナープログラム「PEX」(Partner Engagement Experience)によってリベートやDRといった特典が適用されるというメリットがある。

Red Hat製品のユーザー企業は、今どのような課題やニーズがあるのだろうか。Red Hatの室井洋一氏は「『できるだけ長く、安全にRed Hat Enterprise Linux(RHEL)を使い続けたい』『バージョンアップによって既存のアプリケーションが動かなくなることは避けたい』という要望を以前から多くいただいていました。これまでのRHELはサポート期間が最長10年と定められていたため、それを超えるサポートが必要な場合は、米国本社と個別に延長サポートの可否について調整を行っていました」と明かす。

こうしたニーズに応えるため、Red Hatは長期サポートを提供する新しいサブスクリプション「RHEL Extended Life Cycle, Premium」(RHEL ELC)と、追加オプション「Long-Life Add-On」を2026年に発表した。

RHEL ELCは、RHELのメジャーリリースに対して最長14年間のサポートを、最後のマイナーリリースに対して9年間、(0.xを除く)偶数番号のマイナーリリースに対して6年間の延長サポートを提供する。これまでRHELを長期運用しようとすると、OSのライフサイクルや特定のマイナーバージョンに応じて個別の追加サポートオプションを複雑に組み合わせて購入する必要があった。RHEL ELCを利用すれば、これら複数の追加サポートを単一のサブスクリプション契約で実現できる。「何らかの延長サポートが1つでも必要な場合は、今後はELCを提案するのが最もシンプルで分かりやすい形になります」

Long-Life Add-Onは、年次更新で契約を継続する限り、無期限にサポートを受けられるオプションだ。Long-Life Add-Onを利用するためには、RHEL ELCを契約していることが必須条件となる(※7.9/8.4/8.6/8.8を除く)。

「AI活用やCentOSからの移行など市場が大きく変化している今、AWS Marketplaceを活用することでユーザー企業はより迅速かつ柔軟にRed Hatのソリューションを導入でき、販売パートナーは新たな収益機会を広げられます。レッドハットは今後もSB C&S、AWSと共に、ユーザー企業の皆様のビジネス成長と安心して利用できるIT基盤の実現を支援していきます」