楽天モバイルとKDDIのローミング契約終了、10月以降も一部地域で提供継続
楽天モバイルとKDDIのローミング契約終了、10月以降も一部地域で提供継続

楽天モバイルとKDDIのローミング契約は、9月30日にその期限を迎えた。10月1日からKDDIはローミングの提供を順次終了しており、更新されたエリアマップでは、その範囲が大きく狭まっていることが確認できる。とはいえ、ローミング自体が完全に終了したわけではないのも事実だ。

かつて楽天モバイル側が強調していたように、一部エリアではローミングが継続している。実際、上記のエリアマップでも、縮小こそしているが、依然としてローミングの提供は続けられている。一方で、ローミングが終了すると楽天モバイルにとっては通信品質の低下につながる恐れもある。楽天モバイルには、早期の独り立ちが求められそうだ。

9月30日で縮小したローミング、楽天系外エリアは継続

楽天モバイルとKDDIのローミング契約が、9月30日で終了期限を迎えた。10月1日から、新たな枠組みでサービスが提供されている。楽天モバイルのエリアは、参入当初から見れば大きく広がった一方、全国区で見ると依然としてローミング頼みになっている場所は多い。

10月1日以降にこのエリアがどうなるのかはユーザーの関心事だったといえる。KDDIはもちろん、ソフトバンクなどの競合他社までもが店頭で大々的に「ローミング終了」をうたい、楽天モバイルユーザーの獲得を狙う動きもあり、ローミング契約終了がどう影響するかに注目が集まっていた。

「本当の一部ルーラルエリア」は期間限定でインフラ維持に協力

ローミング終了という言葉が独り歩きしている節もあるが、実際には、9月30日でパッとすべてのエリアがなくなったわけではない。8月に開催されたKDDIの決算説明会では、代表取締役社長CEOの高橋誠氏が「現行の契約は9月をもって終了することで進めている」とする一方、「本当の一部ルーラルエリア(田舎、郊外など)については期間を限定した上でインフラ維持に協力しようと思っている」と語っていた。

逆に、楽天モバイル側がこの「継続」という部分を強調。楽天グループの代表取締役会長兼社長の三木谷浩史氏は、決算説明会で「楽天モバイルがカバーを必要とするエリアは、10月以降も契約にのっとってローミングを継続している」と語っていた。9月30日までの契約は終了したが、楽天モバイルが自社で基地局を構築できていないエリアでは、期間限定でローミングの提供が続けられているというわけだ。

実際、9月30日にKDDIが公開したローミングエリアのエリアマップを見ると、依然としてオレンジに塗られたエリアが全国レベルで残っていることが分かる。これらのエリアが高橋氏の語っていた「本当の一部ルーラルエリア」と呼べるほどなのかは議論の余地がありそうだが、現状、楽天モバイルの自前の基地局を設置していない場所で使っているユーザーが、いきなり「圏外」になってしまう心配はなさそうだ。

都市部では大幅縮小、背景にあるトラフィックの集中

一方で、10月1日から大幅にローミングエリアを縮小していく地域があることも見て取れる。ここには、京都市、堺市、神戸市といった、比較的規模の大きな都市も含まれている。KDDIのローミング提供エリアマップでは9月30日までとそれ以降で比較ができるようになっているが、オレンジに塗られた場所が一気に狭まっている様子が分かる。

京都市は、中心部だけでなく、その周辺からも一気にオレンジ色のエリアがなくなっている。京都に比べるともともとややローミング提供は少なかったが、堺市やそのお隣である大阪市も、地図の下地が見えてすっきりするようになった。神戸市やその周辺も、ローミングエリアが大幅に縮小した場所だ。

京都市や堺、神戸といった規模の大きな都市は、楽天モバイル側も比較的早い段階で、エリア化を進めている。だからこそ、これらのエリアでローミングが断ち切られた。その意味では、これらのエリアでもつながりやすさが9月30日までと大きく変わることはないだろう。

ただし、エリアマップに指標として表れないビル内や地下街などでは、圏外が増える恐れはある。楽天モバイルが持つ1.7GHz帯と比べ、800MHz帯は建物内にも浸透しやすいからだ。これまではローミングでギリギリつながっていたというような場合、楽天モバイル側が何らかの対策を講じなければ圏外になってしまう。

より大きな懸念は、楽天モバイルがトラフィックをきちんとさばけるかどうかだ。KDDIがローミングで楽天モバイルに貸し出しているのは、800MHz帯の15MHz分(下りと上りで計30MHz分)。プラチナバンドで電波が遠くまで飛ぶが、帯域幅自体は、楽天モバイルが主力にする1.7GHz帯の20MHz分(上下で40MHz分)より狭い。

異なる周波数帯を担うキャリアアグリゲーションでは利用できないこともあり、重複するエリアで常にローミングの電波を併用しているわけではないが、エリアが広く取れるプラチナバンドを先につかんで、楽天モバイルのトラフィックがオフロードされていたことが推察される。高橋氏が「以前から想定以上のトラフィックがネットワークに来ていたが、それを解消できる」と語っていたのはそのためだ。

特に楽天モバイルのユーザーは料金プランがデータ容量無制限ということもあり、通信量が多い。最新の決算資料では、2026年第2四半期(4月から6月)に、平均日次データ使用量は1.2GBに達しており、1カ月換算で30GBを超える。総務省の調査などでも、ユーザーあたりのトラフィックが多いことが見て取れる。1.7GHz帯が空いているにもかかわらず800MHz帯につながっていた場所ではローミング終了後に快適になる可能性もあるが、つながりにくくなるという逆の現状も、当然起こりうる。