Alteraは2025年6月8日、International Microwave Symposium (IMS2026) において、Agilex 9 Direct RFシリーズのハイエンド製品「AGRW039」を追加発表した。これに関する詳細な説明が6月30日にオンラインで行われ、その内容を紹介する。
説明は、AlteraのAerospace, Defense & Government Systems Business UnitのGMであるJohn Sotir氏と、APJ Sales VP兼Altera Japan社長のSam Rogan氏が担当した。
基地局や航空宇宙・防衛向け信号処理に対応するDirect RFシリーズ
Alteraは2023年1月からAgilex 9 Direct RFシリーズを提供している。より正確には、RF向けFPGAはStratix 10世代から存在するが、2023年1月にAgilex 3/5/7/9というラインナップ区分を導入し、その際に「AGRW014/027」と「AHRM027」の3製品が発表された(他にStratix 10 1SA28もある)。
「Direct RF」という名称は、携帯電話の基地局や航空宇宙用途(例えばレーダー)の信号をそのまま処理できることを意味する。今回のテーマは航空宇宙・防衛・政府機関向けである。
ドローン対策などで高まる防衛・政府機関向けの処理性能要求
防衛・政府機関向けの要件として、昨今の動向ではより高い処理性能が同じ消費電力枠の中で求められるようになっている。一例としてドローン対策が挙げられ、レーダー処理では従来に比べてドローンの数が圧倒的に多く、RCS(レーダー反射面積)も航空機やミサイルに比べて小さいため、より高い信号処理能力が必要となる。
現在、防衛・政府機関向けにはAgilex 5/7/9が提供されており、今回発表のAGRW039はAgilex 9 Direct RFシリーズの最上位製品に位置づけられる。
AGRW039はAgilex 9 Direct RFシリーズの最上位製品に
AGRW039は、従来のAGRW014/AGRW027/AGRM027と比較して、演算性能の大幅強化、消費電力の低減、DDR5/LPDDR5への対応が主な違いである。
性能面では、Intel 7プロセスを採用することでロジック、メモリ、DSPが大幅に強化された。公開された製品テーブルによると、従来のWide-Band向けハイエンド(Stratix 10 1SA28)と現行ハイエンド(Agilex 9 AGRW027)、そして新ハイエンド(Agilex 9 AGRW039)を比較すると、LE数、メモリ量、DSP数が大きく増加している。ただし、動作周波数は世代ごとに低下している。Stratix 10 1SA28はIntel 14nm、Agilex 9 AGRW027はIntel 10nm、Agilex 9 AGRW039はIntel 7で製造される。Intel 7はIntel 10nm Enhanced SuperFinの改良型であり、Intel 10nmから3世代後のプロセスで、絶対性能や性能/消費電力比が大幅に改善されている。
プロセス改良により「Agilex Core Fabric」の性能が大きく引き上げられている。ただし、Intel 10nmとIntel 7ではトランジスタ密度に大きな差はなく、LEやメモリの増加に伴いダイサイズは大型化していると見られる。
ADC/DAC仕様は従来製品と同等、Tileの詳細は明言されず
ADC/DACについては、AGRW039、AGRW027、Stratix 10 1SA28の3製品で違いはない。Sotir氏に「ADC/DACのTileは同一か、仕様が一致しているだけで別のTileか」と確認したところ、「同じ技術が利用されている」との回答であった。
Agilex 7 Mシリーズとのデザイン互換性にも注目
AGRW039に関するブログエントリでは、Agilex 7 Mシリーズとデザイン互換性があると示唆されている。これは興味深い点であり、既存のAgilex 9 AGRW027とは互換性がない可能性がある。
AGRW039開発ボードも用意、Direct RFエコシステムを拡充
説明では、Agilex 9 Direct RFのエコシステムが立ち上がっており、iWaveなどが日本でも製品を展開している。Altera自身も、DK-DEV-4ARF-FA-AというAgilex 9 AGRW039の開発ボードを用意している。このボードには、FPGAがソケット形状で実装され、DDR5 SODIMM×2、HPSドーターボード、QSPI Flashドーターボード、Clockドーターカード(A-Tile用)、20GHzバラン×4などが搭載されている。



