宇宙戦艦ヤマトのジオラマで5位入賞
高輪中学高等学校(東京都港区)の模型部が3月、「第13回ハイスクールジオラマグランプリ2026」で5位に入賞し、特別賞「審査員ドールハウスKIMURA賞」を受賞した。昨年の3位に続く2年連続の入賞である。作品は「時を超えた決戦」と題し、宇宙戦艦ヤマトが宇宙空間で戦う様子をジオラマで再現。映画「ヤマトよ永遠に REBEL3199 第五章 白熱の銀河大戦」に着想を得て、当時中学3年生だった権田惺太郎君が提案した。
真ちゅう線とキルト芯で無重力を表現
権田君は「真ちゅう線を黒く塗って星や隕石をつり、無重力の宇宙空間を表現。黄色いキルト芯で攻撃を受けた戦艦が爆破される一瞬をとらえた」と説明。審査員からは「宇宙空間の表現が素晴らしい。これまでにない発想」「塗料をうまく使っている」と評価された。20校35チーム中5位となり、特別賞も獲得した。
制作中心メンバーは4人だが、複数の部員がアイデア作りや制作を手伝い、部全体で完成させた。顧問の花田晃一教諭は「『自分はこれが作りたい』という強い思いを持つ生徒と、それを実現させる技術を持つ生徒が協働した結果」と語る。
昨年はゴジラのジオラマで3位
模型部の活動は毎週月・木曜の放課後、美術室で行われる。部長の笠井克輝君(高2)は「基本的に自分の好きなものを作るが、他の部員と話し合うことで新しいアイデアが生まれる」と言う。笠井君は中学3年のとき、怪獣ゴジラのジオラマ「仇討ち」を制作し、2025年の大会で22校33チーム中3位(奨励賞)を獲得。映画「ゴジラ-1.0」にヒントを得て、第二次世界大戦末期の鎌倉の田園風景を再現し、戦闘機「震電」を配置。粘土やスポンジ、アルミホイルなど身近な素材で質感にこだわった。
強豪校に挑むための戦略転換
同校模型部がこの大会に参加し始めたのは2015年。当初は上位を独占する強豪校に阻まれ、成果が出なかった。花田教諭は「ものづくりの町・浜松で合宿し、工場見学も行ったが、帰りの新幹線で『今年も入賞できなかった』と空気が重くなることがあった」と振り返る。
4年前に顧問の責任者となった花田教諭は、大会後に感想文を書かせ、「入賞作品のどこが良かったか、自分たちに足りないものは何か」を部内で話し合う取り組みを開始。自身も審査員の講評をメモし、入賞作品の評価を分析した。その結果、「作品の精巧さでは常勝校にかなわない。発想力で勝負しよう」と結論づけた。
中学生と高校生が混在するチーム編成
同校模型部は愛知県豊橋市の「ユース・モデリング・コンテスト豊橋」にも昨年度から参加。花田教諭の下には「こういう作品を出したい」というアイデアが次々と寄せられる。チームには中学生と高校生を混在させ、下級生が上級生から学ぶ場としている。オープンキャンパスで小学生にプラモデル制作体験会を開いたり、学園祭で作品展示と人気投票を行うなど、活発に活動。電動ドリルやエアブラシなど充実した制作環境を他校生徒が見学に来ることもある。
昨年度の大会参加合宿には、参加部員以外にも多くの希望者が集まり、総勢25人で出かけた。
次なる目標は「強豪校の牙城を崩す」
次の大会に向け、権田君は「校舎のジオラマを作りたい。強豪校の牙城を崩すのが目標」と意欲。笠井君は秋に引退予定だが、「学校で制作することで家で勉強に集中できる」と話し、大学でもものづくりを学びたいという。花田教諭は「努力の成果を実らせたいという生徒や顧問の思いがようやく花開いた。皆で力を合わせ、高輪ならではの作品を世に広くアピールしたい」と抱負を語った。



