ソラコム、通信をソフトウェア化し生成AI時代に現場データで競争優位を築く戦略
ソラコム、生成AI時代に現場データで競争優位を築く戦略

ソラコムの玉川憲CEOは、生成AI時代における競争力の源泉について、基盤モデルが横並びになる中で、現場データの活用こそが差別化の鍵になると指摘する。同社は通信をソフトウェアとして扱う技術を基盤に、AIエージェントが現場作業を支援するデモを公開した。

現場のトラブルシューティングをAIが支援

デモでは、作業員が制御盤の異常を電話でAIに相談し、「電圧計は24ボルト、温度は26.2度です」と伝えると、AIがバッテリー交換まで誘導した。深夜や早朝でも対応可能なAIが、人手不足の現場でベテラン作業員の代わりを務める想定だ。

このAIサービスの土台には、ソラコムのコアネットワーク技術がある。同社は通信網の心臓部をクラウド上のソフトウェアとして自社開発し、世界200以上の国と550の通信キャリアと接続している。

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SGP.32対応SIMと新基盤を商用化

ソラコムは、プロファイル管理基盤「SORACOM Connectivity Hypervisor」と、新eSIM規格「SGP.32」に対応したIoT向けSIMを商用化した。SGP.32は、遠隔地の機器のSIMプロファイルをリモートで追加・切り替えできる国際規格で、スマートフォンのeSIM切り替えを機械向けに実現したものだ。

自動車や産業機器は10年以上使用されるが、通信の前提は10年もたない。旧世代の携帯電話網が停波すれば通信機能が使えなくなり、国によってはローミングの長期利用制限もある。SGP.32対応により、製品を回収せずに通信会社を変更できるため、長期稼働製品では自動車分野などで必須要件になりつつあるという。対応SIMはKDDIと共同開発し、2026年7月7日から商用提供を開始した。

コアネットワークソフトウェアの販売も開始

さらにソラコムは、2015年のサービス開始以来運用してきたコアネットワークソフトウェアを、国内外の通信事業者に販売する事業を発表した。ベンチャー企業が設備を持つ通信事業者に心臓部のソフトウェアを供給する形となる。丸紅I-DIGIOグループとの合弁会社ミソラコネクトでは、加入者管理機能をソラコム製に移行する商用利用がすでに始まっている。

生成AI時代に競争優位を築くデータ戦略

玉川氏は、ソラコムの戦略を顧客がトークン資本を蓄積するための「安全な器」を提供することだと説明する。生成AIが損益に効くかという問いに対し、効かせたのはAIそのものではなく、AIに渡す自社のデータと、人が監督役に回る業務の作り替えだったと結論づけた。

基盤モデルは誰でも利用可能だが、差がつくのはその会社にしかないデータをAIに届けられるかどうかだ。社内文書も固有データだが、差がつきやすいのは工場や車両、設備から途切れず届く現場のデータである。競合が後から集め直すことは難しい。AI投資の費用対効果に悩む経営者がまず取り組むべきは、ツール選びではなく、自社にしかないデータの棚卸しだと玉川氏は強調する。

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