エヌビディアCEOフアン氏「日本の時代」、AIとロボットで日本再興を宣言
エヌビディアCEO「日本の時代」、AIとロボットで日本再興

7月16日、エヌビディア創業者兼CEOのジェンスン・フアン氏は東京都内で過密なスケジュールをこなした。日中には虎ノ門で富士通、ファナック、川崎重工業、安川電機の首脳陣を交えた昼食会が開かれ、フアン氏はとんかつを食しながら懇談。その後、共同記者会見に臨み、経済産業省が主導するフィジカルAIプロジェクトのキックオフイベントにも出席した。

「Japan is back!」フアンCEOが宣言した日本の新時代

夜には都内で「NVIDIA Japan AI エコシステムレセプション」が開催。会場にはスーパーコンピューター「富岳」の開発総責任者である松岡聡氏(理化学研究所計算科学研究センター長)をはじめ、科学者、スタートアップ起業家、政府関係者が集まった。フアン氏は壇上で約25分間、日本への思いを熱く語った。

特に冒頭で時間を割いたのは、創業期に倒産危機から救ってくれたセガへの感謝だった。「私が33歳のころ、セガ向けの技術開発に行き詰まり、会社は倒産寸前だった。セガの入交昭一郎副社長(当時)のもとへ行き、正直に打ち明けた。『私たちの技術はダメだった。でも会社を存続させるために、お金が必要だ』と。彼は私たちを信じて投資を決めてくれた。あの投資がなければ、今日のエヌビディアは存在していない」と述べ、涙を浮かべる場面もあった。

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スピーチ終盤、感極まったフアン氏は主賓のあいさつを待たずにグラスを掲げ「乾杯!」とフライング。続いて登壇した松本洋平文部科学大臣が「さすが世界トップの企業、決断と行動が早い」と述べると、会場は笑いに包まれた。

フィジカルAIが日本製造業を変える

ウイスキーを飲み干したフアン氏はそのまま報道陣の囲み取材に応じた。30人あまりの記者を前に、当初15分の予定を35分に延長。日本への思いやAIの未来、お気に入りのラーメン店にも言及した。

フアン氏は「今日は日本にとってとても大きな1日だ。『ジャパンAI』の始まりの日だからだ。日本の製造業と産業用ロボットは驚くほど優れている。ただ、1つ欠けていた技術があった。それが『フィジカルAI』だ。重力や衝突、因果関係を理解する知能を持ったAIだ。今、われわれはその技術を手にしている」と強調。

「日本がかつてエヌビディアを救ってくれた話をご存じの方も多いだろう。今度はわれわれが日本に貢献する番である。次世代のAIと産業の中心はロボットと自動化。今は日本の時代であり、企業や経済が好調な時こそ投資すべき。日本には必要な条件がそろっている。だからさあ、始めよう。Japan is back!」と宣言した。

質疑応答:中国への半導体出荷に「日本の話をしよう」

記者から中国への半導体出荷の可能性を問われると、フアン氏は「日本の話をしよう。もっとちゃんとマナーを守ろう。あとであなたに戻るけど、その時はもう少しよい質問をしてほしいな。ここは日本だ。敬意を払い、日本のためによい仕事をしよう。できるか?」と応じ、記者が「もちろんです」と答えると「よし、いいね」と笑顔を見せた。

別の記者がNECやソフトバンク、ホンダなどとのコンソーシアムの位置づけを質問すると、フアン氏は「日本の限界を決めるのは人口でなくなる。半導体は世界最大の産業になる。秋葉原にある『一番のお気に入り』のラーメン店にも行きたい」と語り、AIエコシステムの拡大に意欲を示した。

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日本再興への期待とエヌビディアの役割

フアン氏は「日本の製造業とロボット技術は世界最高だが、フィジカルAIの導入でさらなる飛躍が可能だ。エヌビディアはGPUとAIプラットフォームで日本企業を支援する」と述べ、日本政府と連携したプロジェクトの重要性を強調。松岡聡氏も「富岳の次世代機ではエヌビディアの技術が鍵になる」と期待を寄せた。

今回の来日でフアン氏は、日本の産業界・政府との協力関係をさらに強化。セガへの恩返しとして、日本のAI・ロボット産業の発展に貢献する決意を改めて示した。