ChatGPTやClaudeといった汎用的なAIチャットボットとは一線を画す、業務特化型のエージェンティックAI「Genspark」が注目を集めている。Gensparkは、自社開発のモデルに依存せず、70種類以上の異なるAIモデルをタスクごとに最適に使い分ける点が最大の特徴だ。これにより、単なる対話ではなく、仕事でそのまま使える成果物(スライド、表、グラフ、文章など)を自動生成する。
曖昧な指示にも対応するエージェンティックAI
従来の生成AIは、ユーザーの指示が曖昧な場合、AIが勝手に解釈して作業を進めてしまうことが多かった。しかしGensparkは、指示が不明確な場合には、事前に確認の質問をユーザーに投げかけ、齟齬を防ぐ仕組みを備えている。例えば、「2019年から2025年までのインバウンド観光客の推移を表にして」と頼むと、Gensparkは日本政府観光局のWebサイトからデータを自動収集し、表やグラフにまとめる。このプロセスはほぼ全自動で、ビジネス現場での簡便さが人気の理由だ。
法人向けサービス「Genspark for Business」が急成長
個人ユーザーにも支持されているが、Gensparkが特に注力しているのは法人市場である。2025年1月にローンチした法人向けプラン「Genspark for Business」は、わずか6カ月で6000社以上の法人顧客を獲得した。このプランでは、部門ごとにクレジット利用量の上限を設定できるほか、作成した情報の公開・共有を管理者が承認する機能など、企業利用に適した管理機能が充実している。
日本国内では、電通やADKといった大手広告代理店、アスクル、阪急阪神不動産、さらに世田谷区などの自治体が採用している。このことから、Gensparkを「AI時代のMicrosoft Office」と評する声もある。ただし、完全に競合しているわけではなく、Microsoft Officeとの連携機能も充実している。
マイクロソフトとのグローバル戦略提携
Gensparkは企業展開において、マイクロソフトをはじめとするパートナーとの協力を重視している。マイクロソフトはGensparkを主要インフラ/エージェントパートナーの1社に位置づけ、世界に3拠点しかないMicrosoft Executive Briefing Centerのすべてにブースを構える数少ないパートナー企業に選んでいる。
2026年4月には、両社のグローバル戦略提携が発表され、Word、Excel、PowerPoint、そしてMicrosoft Agent 365にGensparkのAIエージェントが組み込まれることになった。これにより、Gensparkの機能がマイクロソフトのオフィススイート内でシームレスに利用できるようになる。
多方面から集まる信頼と期待
Gensparkの強みは、単一のAIモデルに依存せず、複数のモデルを組み合わせることで、より正確で多様なアウトプットを実現する点にある。また、初心者でも使いやすいインターフェースと、法人向けの堅牢な管理機能が、企業の導入を後押ししている。
フリージャーナリストの林信行氏は、「AIに慣れていない人や、理路整然とした説明が苦手な人でも、Gensparkなら確認質問を挟むので安心して使える」と評価する。Gensparkは、AIを一部の専門家だけのものではなく、すべての人の道具にすることを目指している。



