CNBCとSurveyMonkeyが2026年8月18日に公表した調査(注1)で、AIが雇用の安定性に与える影響について、毎日AIを利用している従業員だけが肯定的に捉えている一方、利用頻度が低いほど不安を感じていることが分かった。調査は2026年7月、米国の労働者と学生1686人を対象に実施された。
毎日使う人だけが感じる「安心感」
調査によると、AIの利用頻度にはばらつきがある。「毎日利用する」が30%、「週に数回利用する」が34%、「全く利用しない」が37%だった。しかし、AIが雇用の安定性に与える影響について肯定的に答えているのは、毎日AIを利用している層だけだった。週に数回以下の利用者層は「AIによって雇用の安定性がより不安に感じられる」と回答している。
この傾向は毎日利用する層でさらに顕著で、「AIによって雇用市場全体を楽観視している」と答えたのもこのグループだけだった。
ガートナーのアダム・プレセット氏(バイスプレジデントアナリスト)は「たとえAIによる代替が近い将来に現実のものとなるわけではないとしても、従業員はAIによって自身の専門知識の価値が低下したり、これまで得意としてきた仕事内容が変わってしまったりするのではないかと懸念している」とCIO Diveへのメールで述べた。
方針の欠如と研修不足が生む「ギャップ」
従業員はAIの利用によって時間の節約と自身のスキルへの自信を実感していると回答している。しかし、公式なAI利用方針の欠如と、誰がこの技術を使うべきかについての一貫性のないガイダンスが、活用の妨げとなっている。
2026年7月のテクノロジー分野の雇用市場はまだらな展開となった(注2)。失業率は引き続き低下したものの、自動化が中核業務に深く浸透するにつれ、労働市場ではAIに精通した人材への需要が高まった。
CNBCとSurveyMonkeyの調査によると、半数以上の経営者は公式なAIポリシーを設けていない。一方で、AIの使用に強く反対したり、完全に禁止したりする組織はごく少数だった。
プレセット氏によれば、方針の不明確さが従業員の不信感を強めている。従業員は適切な導入や研修がされていないためテクノロジーを疑っており、「ツールの不具合について責任を問われる」「AIは自分たちのパートナーではなく、自分たちに押し付けられているものだ」と感じることが多いという。
「多くの組織でAIが導入されている現状に対して、不信感を抱くのは当然の反応だ」とプレセット氏は述べる。「AIツールは、たとえ回答が間違っていても自信満々に見えることがある。従業員はシステムがどのようなデータを使用しているのか、あるいはどのように判断を下しているのかを知らない可能性がある」
フォレスターのJ.P.ガウンダー氏(バイスプレジデント兼プリンシパルアナリスト)はメールで、企業はAIに多額の投資をしてきたものの、従業員が職場でAIを活用する方法について十分な、あるいは全くトレーニングを受けていないため、CIO(最高情報責任者)が従業員に期待する能力と実際の能力の間には大きなギャップが存在すると述べた(注3)。
「雇用主は、AIが従業員自身にもたらすメリットと、会社に純粋にもたらされるメリットを明確に説明することなく、従業員にAIツールの使用を強制してきた」(ガウンダー氏)
対処法は「リスクの低い業務から段階拡大」
テック業界を中心に調査を行うThe Futurum Groupのニック・ペイシェンス氏(AIプラットフォーム担当バイスプレジデント兼プリンシパルアナリスト)はメールで、リスクの低い業務——従業員が既に慣れ親しんでいる文書作成や調査といった業務——から始め、段階的に導入範囲を広げていくCIOは、導入においてより大きな成功を収めるだろうと述べた。従業員がこうしたワークフローに慣れてきたら、組織はよりリスクの高い意思決定に移行できる。
経営陣がAIの利用にどのように取り組むかによって、従業員はAIが仕事に悪影響を与えるのではないかという不安を軽減し、より安心して仕事に取り組めるようになる。多くの組織は「AIは使ってもいいが、使いすぎは禁物」「ROI(投資利益率)は追求せよ、だがAIにトークン(プロンプト量)を使いすぎるな」といった、矛盾したメッセージを発信している、とプレセット氏は述べた(編注1)。
「彼らにとってこれは全く新しいテクノロジーであり、使い方と価値を見極める上での“ちょうどよいあんばい”を短期間で見つけつつ、日々の業務もこなすことが求められている」(プレセット氏)



