AIをよく使う人ほど残業が長い? 効率化が生む“忙しさの病理”
AIをよく使う人ほど残業が長い? 効率化が生む“忙しさの病理”

AIを使いこなしている人ほど、残業時間が長い――。この一見矛盾した現象がなぜ起きるのか。アタックス・セールス・アソシエイツ代表取締役会長の横山信弘氏が、その仕組みを解説する。

AIでできると知ったから始めた業務が時間を増やす

横山氏は、AIを活用し始めてから、以前は行っていなかった作業を新たに始めるケースが増えていると指摘する。例えば、議事録の作成や音声記録の整理、文章の要約などだ。これらは、AIでできると知ったからこそ始めた業務であり、もともとやっていなかった作業を新しく始めるのだから、業務時間はその分だけ増えることになる。

これは、オフィスにパソコンが普及した頃の現象と似ている。当時、ペーパーレス化が進むと期待されていたが、実際には紙の使用量がかえって増えた時期があった。簡単に印刷できるようになったことで、印刷という行為そのものが増えてしまったのだ。便利な道具が手に入ると、その道具を使う機会そのものが増えてしまう。これは、いつの時代にも起きる現象だと横山氏は言う。

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パーキンソンの法則が示す「仕事の膨張」

もう一つ見過ごせないのが、業務時間を削減できたとしても、その空いた時間に、別の仕事を新たに投入してしまうケースだ。これでは、残業削減にはまったくつながらない。

これは、「パーキンソンの法則」の第1法則で説明できる。「仕事の量は、完成のために与えられた時間をすべて満たすまで膨張する」という法則だ。本来2時間かかっていた作業が、AIによって20分で終わったとしても、余った1時間40分は何もせず消えてなくなるわけではない。その空白を埋めるように、新しい仕事が自然と流れ込んでくる。時間があれば、仕事はその時間に合わせて膨張してしまうのだ。

もし目的が「残業を減らすこと」であれば、空いた時間はそのまま帰宅時間の前倒しに使われるべきだ。しかし、多くの現場で起きているのは、「AIを活用すること」自体が目的になってしまっていることだ。

残業削減に成功する人とは

残業削減に成功する人は、AIをあくまで手段として使い、目的を見失わない人だと言える。AIによって生まれた時間を、新たな業務で埋めるのではなく、労働時間の短縮に充てることができれば、残業削減は実現する。

横山氏は、AI活用が目的化しないよう、常に「何のためにAIを使うのか」を意識することの重要性を訴えている。

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