ミズノ、eスポーツ参入で過去最高益 部活激減の逆転戦略とは
ミズノ、eスポーツ参入で過去最高益 部活激減の逆転戦略とは

少子化や気候変動の影響で中高生の部活動人口が激減する中、スポーツ用品大手のミズノがeスポーツ事業への本格参入で新たな成長の道を見出している。同社は2026年3月期に売上高、営業利益、当期純利益のすべてで過去最高を更新した。

部活動人口の減少とeスポーツ部の急増

中学生の部活動人口は2013年から2023年の10年間で約20%減少した。一方、eスポーツを部活として行う学校は2020年の約30校から、2026年8月現在で756校(NASEF JAPAN加盟校)を超え、約25倍に増加している。中には200人規模の部員を抱える学校もあるという。

ミズノのアスレティック事業部事業統括室室長・藤田真之介さんは「気候変動で夏が暑く、少子化で人も少ないため、部活でチームを組むことができません。ネット環境やオンライン・オフラインで個人でもできるeスポーツは、非常に需要が高まっていると感じています」と話す。

スポーツメーカーがeスポーツに参入する理由

同社はこれまで五輪競技の半数以上で日本代表チームをサポートしてきた実績を持つ。藤田さんは「スポーツをしている中高年には強い会社でしたが、スポーツをしていない若者に対してもっと接点を持ち、ブランド価値を向上していきたいと考えていました」と説明する。

eスポーツ選手の練習量は過酷だ。グローバルイクイップメントプロダクト部用具開発課課長の川端洋明さんは「野球選手の1日の練習量は3〜5時間程度ですが、eスポーツ選手は試合前になると1日10〜14時間も練習しています」と指摘する。長時間の着座による身体のコンディショニングを意識し、筋トレに取り組む選手もいるという。

ギア開発とユニフォーム文化の創出

ミズノはeスポーツ向けに、左右非対称のコントローラーや吸汗速乾ウェア、ゲーミングチェアなどを開発。試作段階でプロ選手のフィードバックを反映し、細かな調整を繰り返している。

さらに同社は、学校のeスポーツ部にユニフォーム文化を根付かせる活動にも着手。「学校競技のユニフォームのノウハウもありますが、まずユニフォームを着るという文化を作っていこうと考え、大会協賛を通じてその啓蒙活動をしています」と藤田さんは語る。

今後の課題について同社は「海外のグローバル市場でしっかりと勝ち切っていくこと。日本発の技術やサポート体制を世界へと広げ、スポーツメーカーとして選手たちをしっかり支え続けていきたい」としている。藤田さんは「10年後、eスポーツをやっている方たちに『ずっとミズノに支えられてきた』と思っていただけるよう、継続した取り組みを行っていきたいと思います」と話した。