総務省は7月27日、インターネット上の偽・誤情報や誹謗中傷、青少年保護などの課題を議論する有識者会議を開催し、SNS事業者に求める対応策の論点をまとめた。会議では、有害情報の発信・拡散前に利用者に注意を促す事前対策を推進する一方、一斉削除など過度な規制を避けるため、事業者の責任を明確化する方針が示された。また、情報流通プラットフォーム対処法(情プラ法)に基づく事業者の点検や法改正の可能性も検討される。
権利侵害の拡大と事前対策の必要性
会議では、偽情報や誹謗中傷による権利侵害が拡大しており、個別の事後救済には限界があると指摘。投稿や拡散前の対策を事業者に求めた。今後は、行政機関が実態を把握する仕組みについても議論を進める方針だ。
情プラ法は、月間平均利用者数が1000万人以上の大手事業者を対象に、不適切な投稿への対応や対応状況の公表を義務付けている。しかし、事業者はサービス内容の変更やデータ利活用などで圧倒的に有利な立場にあり、情報開示に消極的な姿勢を改めることが急務とされている。
GoogleやX、Metaを名指しで批判
ある委員は、情報提供に消極的な米GoogleやX、Meta、ドワンゴに対して「法令順守の気持ちがあるのか疑わざるを得ない」と名指しで厳しく批判した。また、事業者が不利な情報を意図的に検索しにくくしているなどの疑惑が度々浮上する一方、急な方針変更で説明なくアカウントが停止されるなど強権的な対応も問題視されている。
デジタル広告の横行と表現の自由
デジタル広告を巡っては、有名人の名をかたった偽装サイトに誘導する偽広告が横行。年齢制限が必要な性的内容を含む広告も頻繁に表示され、意図的に分かりにくい表示でスマートフォンの誤操作を誘発するデザインも社会問題化している。
ただし、ネット上の情報は憲法で保障された表現の自由や知る権利、通信の秘密などによって保護されなければならない。国民民主党が参院に提出した青少年インターネット環境整備法の改正案は、性的描画を含む有害広告を青少年の目に触れさせないことを目的としたが、規制対象や基準の主体があいまいで、曖昧な思想に基づく検閲につながるとして反発を招いた。
ネット上の自由と安全を両立するためには、大手事業者が積極的に情報を開示し、利用者の理解を得たルール作りを主導することが求められている。(高木雄介)



