筆者の日常の買い物は、イオン系列でも最安値を誇る「ザ・ビッグ」で行われる。入店後、カートデッキに「マイピ」というセルフスキャナーを装備し、順路通り買い物を終え、刻みネギを忘れてスタート地点に戻されるという痛恨がなければ、そのままマイピ用セルフレジに進む。そこでスマホを取り出しアプリで会員コードと株主優待コードを同時に読み込ませる。ここまでは「臣民」として完璧な動きである。しかし、最後の最後で支払いが「楽天カード」という背信を犯すため、いつも店を出るまで生きた心地がしない。
イオンカードと楽天カードの狭間で
当然だがイオンは「イオンカード」という独自のクレジットカードを発行している。しかし筆者の本体はイオンの植民地在住だが、アバターは楽天経済圏の奴隷であるため、クレカは楽天なのである。セルフレジも無人ではなく常に監視がいる。あれは万引き防止やセルフレジの使い方を教えるだけでなく、非国民をあぶり出すための憲兵的役割もあると思っている。見つかったらどうなるかはわからない。おそらく見つかった奴は全員消されているため、見つかったらどうなるか誰も知らないパターンだろう。
しかし、イオンの慈悲深いところは「イオン以外のクレカでは決済させない」と言いださないところだ。「泳がす」ために今は言わないだけかもしれないが、楽天カードでも普通に決済してくれるし、出口で100叩きなどのペナルティもない。それが普通であり「うちのクレカじゃないと決済させない」なんて言いだしたら、商売なんかできないと思うかもしれないが、それに近いことを言いだして猛批判を食らったが負けずに同じようなことをしようとしているところもある。それが「PayPay」である。
PayPayの他社カード利用券導入の経緯
QRコードシェアナンバー1が繰り出した「他社カード利用券」。いちユーザーとしては、時折発せられる「スクラッチチャンス!」に都度新鮮に驚かされている。「PayPay」とはQRコード決済戦争の勝者であり、QRコード利用者決済利用者の過半数がPayPayを使用しているそうだ。PayPayへの入金方法は銀行口座、コンビニATM、クレジットカードなどあるが、2023年にPayPayは「PayPayカード」及び「PayPayゴールドカード」以外の他社クレカでは決済できないようにすると発表したそうだ。
PayPayの圧倒的シェアを利用した、強引なPayPayカードへの誘導にユーザーは当然猛反発した。確かに「金を借りられるところは多い方がいいし、クレカはショッピング枠も換金に使えるからアツい」と考える人以外は、むやみにクレカを増やしたくないはずであり、今までどおりクレカ決済したければPayPayカードを作れという方針には怒りを覚えるだろう。しかし猛批判を受けて、PayPayは他社カード決済不可を、延期に次ぐ延期にはしたが、決して中止とは言わず、最終的に「他社カードの利用券の購入」で落ち着くこととなった。
無駄な工程の意義とPayPayの戦略
この利用券の購入に手数料などはかからないため「他社カード利用券を購入」という、一工程が挟まれただけで、従来通りPayPayで他社クレカを使用することができる。無駄な工程が増えただけでなんの意味があるのかという感じだが、無駄な工程を入れて面倒くさくすることに意義があり、この無駄工程に耐えきれなくなったユーザーがPayPayカードを作る、粘り勝ちを狙っているのではないかと思われる。新しくクレカを作る手間より、謎工程に耐える方が楽な気もするので、無駄に反感を買うようなことをしない方がいいのではないかとも思うが、そんな弱腰姿勢だったら、PayPayがQRコード決済戦争の覇者になっていないだろう。
そもそも何故PayPayがシェアナンバーワンになったかというと、100億円プレゼントなど、ユーザー獲得のために金を惜しまなかったのもあるが、個人商店にまでPayPay決済を導入させてくれと頼んで回った成果でもあるらしい。現在も「支払いは現金とPayPayのみ」というピーキーな個人商店に出会うのはその名残だ。店主が80代で従業員が60代の娘というツーマンセル店舗に「PayPay使えるようにしてください」と突撃できる会社が、ユーザーが怒っている程度でPayPayカードのシェア拡大を諦めるはずもなく、無駄なひと手間でユーザーがキレるのを待つという我慢勝負に出るのも納得である。
楽天経済圏とPayPayの関係
ちなみに筆者は楽天経済圏の者なので、QRコードは当然楽天Payを使っている。楽天カードを使っているなら、QRコード決済も楽天Payなど、持っているカードにより、他のサービスも決められてしまうのだから、PayPayが囲い込みに本気になるのも当然と言える。筆者はPayPay圏内からは完全に外れているが、一つだけPayPayを冠した金融サービスを使っている。だがこれはPayPayを選んだわけではなく、長年違う名前だったのに突然「PayPay銀行」に改名されたのだから仕方がない。もし今後PayPayカードの利用率が伸びなかったら、別のシェアが大きいカードを買収して、名前はPayPayカードにしてしまえばいいのではないだろうか。もちろんユーザーは怒るだろうが、怒られることには慣れているだろう。



