寝る前のスマホが心臓や血管に負担、将来の健康リスクに
寝る前のスマホが心臓や血管に負担、健康リスクに

寝る前にスマホを操作する習慣が、単なる睡眠不足を超えて心臓や血管に負担をかけ、将来の健康リスクを高める可能性がある。『毎日の小さな習慣が病気をつくる ヤバイ健康負債』(Dr.パンダ/あさ出版)では、こうした生活習慣を「健康負債」という視点で解説している。

寝る前のスマホが睡眠を妨げる3つの理由

寝る前のスマホ使用は、睡眠時間の短縮、寝つきの悪化、夜間の覚醒、睡眠の質の低下と関連することが報告されている。成人を対象とした研究でも、ベッドでのスマホ使用は、寝つきにかかる時間、夜間の覚醒、心拍数や心拍変動などに悪影響を及ぼす可能性が示されている。

スマホが睡眠を妨げる理由は大きく3つある。1つ目は光の刺激で、スマホやパソコンの画面から出るブルーライトが脳に「まだ昼間だ」と錯覚させ、眠気を促すメラトニンの分泌や体内時計に影響する可能性がある。2つ目は脳が覚醒すること。SNS、ニュース、動画、ゲーム、仕事のメールなどは内容そのものが脳を刺激し、楽しい内容でも不安になる内容でも脳が活動モードになり、寝つきにくくなる。3つ目は時間が延びやすいこと。スマホは「少しだけ」のつもりでも、次の動画や投稿、通知へと続きやすく、気づかないうちに就寝時刻が遅くなる。

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睡眠不足が心臓病や脳卒中のリスクに

慢性的な睡眠不足は、全身のさまざまな健康障害のリスクを高め、特に心血管系の障害(高血圧、動脈硬化、心筋梗塞、脳卒中など)との関連が数多く報告されている。通常、深い睡眠中には血圧や心拍数が低下して心臓・血管を休ませているが、寝不足が続くと夜間に十分血圧が下がらず、交感神経が優位な状態が続きやすくなる。本来なら休むはずの夜間にも、体が軽い緊張状態のままになってしまう。

実際、短時間睡眠は高血圧の発症リスク上昇と関連することが、複数の研究をまとめた解析で報告されている。睡眠不足は血管にも影響し、寝不足や睡眠の質の低下が続くと交感神経の緊張、血糖や脂質代謝の乱れ、炎症、酸化ストレスが起こりやすくなる。これらが重なると、血管の内側を覆う血管内皮の働きが悪くなり、LDLコレステロールが血管壁に入り込みやすい環境がつくられ、動脈硬化が進みやすくなると考えられている。

睡眠と動脈硬化の関係については、自律神経、代謝、免疫・炎症の経路を介して心血管リスクに影響する可能性が示唆されている。ここで言う「コレステロールが蓄積しやすくなる」とは、寝不足だけでコレステロールが一気に増えるという意味ではなく、睡眠不足によって血管の炎症や代謝の乱れが起こり、動脈の壁に脂質がたまりやすい状態が続くという意味だ。

このような高血圧や動脈硬化の進行により、心筋梗塞や脳卒中といった重大な心血管疾患のリスクが高まる。短時間睡眠は、肥満、2型糖尿病、高血圧、脳卒中、冠動脈疾患などのリスクと関連し、一部では因果的な関係も示唆されている。

改善策:寝る前のスマホを控える習慣を

寝る前のスマホやパソコンの利用を控えることが推奨される。少なくとも就寝30~60分前、可能であれば1~2時間前から、スマホやパソコンなどの電子機器の使用を控える習慣をつける。どうしても使う必要がある場合は、画面を暗くしたりブルーライトカットの眼鏡やナイトモード機能を活用したりする。ただし、スマホが睡眠を妨げる理由は光だけではなく、SNSやニュース、動画、ゲーム、仕事のメールなどは脳が活動モードになり寝つきにくくなるため、可能な限り寝る前の利用は控えるのが理想とされる。

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具体的な習慣として、スマホの充電場所を寝室の外にすることが挙げられる。ベッド横などでスマホを充電している人は、寝室ではなくリビングや廊下で充電するようにする。目覚まし時計としてスマホを使っている人は、代わりに置き時計を用意するだけでも習慣を変えやすくなる。「寝る前にスマホを見ない」と決めるより、「寝室にスマホを持ち込まない」と決めるほうが実行しやすい。

また、就寝1時間前からスマホの通知をオフにすることも有効だ。SNS、ニュース、動画アプリの通知が残っていると、つい確認したくなる。スマホを完全にやめるのが難しい場合でも、夜だけは通知を切る、画面をグレースケールにする、動画アプリを開かない、仕事のメールを見ない、といった工夫で脳への刺激を減らすことができる。

日中に眠気が強い場合、短時間の昼寝も有効だが、長く眠りすぎると夜の睡眠に影響するため、昼寝は20~30分以内、午後の早い時間帯にとどめるようにする。夕方以降の仮眠は夜眠れなくなる原因になるので注意が必要だ。