スペイン政府は20日、モロッコからの不法移民大量流入で人道危機に直面している北アフリカのスペイン領セウタの状況を緩和するため、1800人規模の保護施設を新設すると発表した。
7万人がモロッコ側に戻ったと主張
スペイン政府は、7月30~31日にモロッコからセウタに押し寄せた不法移民7万2000人のうち約7万人がすでにモロッコ側に戻ったと主張している。
だが、即座に強制送還できない保護者が同行しない未成年者を含め、今なお数千人が残留し食料や水、住居、衛生設備へのアクセスに苦しんでいる。小さな飛び地であるセウタのリソースは今や限界を迎えている。
路上生活の継続と治安悪化への懸念
多くの不法移民が過去3週間にわたり路上や海岸で寝起きする状況が続いており、NGO(非政府組織)は特に女性や少女が危険な状況に置かれていると警告している。
地元住民からは、街を徘徊するホームレス状態の不法移民に関連した治安の悪化や衛生問題を懸念する声が上がっており、中央政府がセウタを見捨てたと批判している。
保護施設は「一時的なもの」
移民省は、新設する二つの保護施設について「一時的なもの」だが、段階的に拡張されると説明した。
同省によると、保護施設に入るかどうかは不法移民の「自由意志」で、優先事項は、「彼ら(不法移民)が路上や海岸で夜を明かす必要がないように、選択肢としての宿泊・受け入れスペースを提供すること」だという。
未成年者受け入れをめぐる政治的対立
不法移民の今後をめぐり、保護者が同行しない未成年者の受け入れに抵抗する中道右派の野党・国民党(PP)や極右政党「ボックス(VOX)」が首長を務める地域と、左派・社会労働党政権が率いる中央政府との対立が激化している。
中央政府は保護者が同行しない少女・女児500人をスペイン本土へ移送することを目指しているが、国民党は未成年者を含め残留する不法移民全員の国外追放を要求している。
これに対し青少年省のルベン・ペレス・コレア事務次官は20日、ラジオ局カデナ・セルとのインタビューで「スペインでは、未成年者の集団国外追放は違法だ」と反論。セウタに残留する保護者が同行しない少女・女児たち(中には10歳や11歳の女児も含まれる)は「非常に複雑な家庭状況」を抱えており、「専門的なケアを必要としている」と述べた。



