SNS上で、人工知能(AI)が生成する似顔絵が若者を中心に人気を集めている。ユーザーが自分の写真をアップロードすると、AIがアニメ風や油絵風など様々なスタイルの似顔絵を作成するサービスが相次いで登場。特に米国発のアプリ「Lensa」や中国発の「ZAO」などが話題となり、日本でも多くのユーザーが利用している。しかし、こうしたサービスの普及に伴い、個人情報流出の懸念が高まっている。
人気の背景と仕組み
似顔絵生成サービスは、ユーザーが複数の自撮り写真をアップロードすると、AIが学習して数分から数時間で数十枚の似顔絵を生成する。生成された画像はSNSのプロフィール画像として利用されることが多く、特にインスタグラムやTikTokで拡散されている。セキュリティ専門家の佐藤健一氏は「これらのサービスはユーザーの顔データを収集し、サーバーに保存しているケースが多い。データが悪用されるリスクを認識すべきだ」と警告する。
プライバシーリスクの実態
実際、2023年には中国の似顔絵アプリ「ZAO」が、ユーザーの顔データを無制限に利用できる条項を含む利用規約が問題となった。また、米国の「Lensa」も、アップロードされた写真をサービス改善のために使用する可能性があると明記している。日本の消費者庁は「個人情報保護法に基づき、事業者は利用目的を明示し、同意を得る必要がある。しかし、利用者が規約を十分に読まずに同意しているケースが少なくない」と指摘する。
利用者が取るべき対策
専門家は、似顔絵サービスを利用する際には、プライバシーポリシーを確認し、不要なデータ提供を避けるよう呼びかけている。また、顔認識技術の進歩により、写真から個人を特定されるリスクも指摘されている。佐藤氏は「SNSに似顔絵を投稿するだけでも、位置情報や投稿時間などから個人が特定される可能性がある。利用は自己責任で」と注意を促す。
今後の規制の動き
欧州連合(EU)は、AI規制法で顔認識技術の利用を厳しく制限する方針を示している。日本でも、個人情報保護委員会がAIサービスに対するガイドラインの策定を進めており、2025年までに具体的な規制が導入される見通しだ。一方で、業界団体は「過度な規制はイノベーションを阻害する」と反発しており、バランスの取れたルール作りが求められている。



