テトリスを3分間プレイするだけで、抑えがたい食欲が脳から消え去る可能性があるという。この効果は食べ物への欲求だけでなく、アルコールやタバコ、カフェインへの欲求にも一貫して確認されている。明治大学の堀田秀吾教授と医師の木島豪氏が、その仕組みを解説した。
テトリス3分で欲求が14ポイント低下
参加者をランダムにテトリスグループと記録のみのグループに分けた実験では、テトリスを3分間プレイしたグループで欲求の強さが平均70%から56%へと14ポイント下がった。この背景にあるのが「精緻化侵入理論」だ。食べたいという衝動は、頭の中に「食べているときの感覚的なイメージ」が浮かぶことで強化される。チョコレートの甘い香り、とろける食感、口に入れたときの満足感――そうした映像が脳内で繰り返されるほど、衝動は膨らんでいく。
テトリス法:脳の作業台を別のもので埋める
テトリスは「視空間ワーキングメモリ」と呼ばれる脳の領域を使う。これは頭の中で形や空間を操作するための作業スペースで、広さには限りがある。ブロックを回転させたり積み上げる場所を判断したりするだけで、この作業台はあっという間にいっぱいになる。すると、食べ物の映像を再生する余裕がなくなり、食欲のイメージを追い出す仕組みが働く。衝動を強化する「頭の中の映像」そのものが作られにくくなるのだ。
食べたい衝動に「負けた」のではなく、「脳の構造のうえで、映像を止めるものがなかっただけ」と堀田教授は指摘する。対策は意志力を鍛えるのではなく、脳の作業台をテトリスなど別のもので埋めてしまえばいいという。
コンビニでの衝動買いも環境と習慣が原因
コンビニに「ちょっとだけ」と入ったはずが、レジに並ぶ頃には手にスナック菓子やスイーツが増えていた経験は誰にでもある。あれは意志力の問題ではなく、「環境と習慣が自動的に引き起こす行動」の結果だと堀田教授は説明する。意志力に頼らず、環境を変えることで衝動をコントロールできる可能性がある。



