ソニーのフラッグシップスマートフォン「Xperia 1 VIII」は、Xperia 1シリーズで8世代目となる。商品全般に焦点を当て、発売後の反響からデザイン変更の意図、カメラ性能の進化、20万円を超える価格設定の背景、そしてSIMフリーモデルでのミリ波対応まで、多岐にわたるトピックについてソニーのキーマンに話を聞いた。
発売後の反響とデザイン刷新の狙い
インタビューに応じたのは、Global Sales & Marketing イメージングコミュニケーションマーケティング部 マーケティング部 MC1課 統括課長の礒田裕史氏と、共創戦略推進部 イメージングコミュニケーション商品企画部 2課の北谷善彦氏だ。
まず、発売後の反響について、礒田氏は「価格が上がりながらも好調に推移しており、お客様の満足度も非常に高いです。国内・海外ともに好調で、特に1TBといった大容量メモリの追加や、SIMフリー限定の特別色(ネイティブゴールド)を展開し、選択肢を広げたことが奏功しています。量販では直販(D2C)チャネルを強化し、販売が大きく伸びています」と語る。機能面では、デザインの更新や望遠カメラの進化がコアファンに支持されているほか、新機能の「AIカメラアシスタント」も、使ってみてから撮影頻度が増え、写真が楽しくなったとご好評いただいているという。
今回、デザインが従来の「縦」から「横」へと大きく変わった。その意図について、北谷氏は「一番の理由は、望遠センサーを大型化したことに合わせてカメラの配置を見直したためです。従来の縦配置では収まりきらなくなったため、デザインをガラッと変更しました。その際、超広角撮影時に指が写り込みにくくしたり、レンズ間の距離を近づけて切り替え時の画角ズレを低減したりと、使い勝手も向上させています。コンセプトは『原石(ORE)』とし、背面ガラスやアルミフレームなどの異素材を組み合わせながら、一体感のある質感を表現しました。カメラらしい質感を取り入れつつ、スマートフォンとして研ぎ澄まされた形に落とし込んでいます」と説明する。
物議を醸したAIカメラアシスタントの実装意図
AIカメラアシスタントの実装意図について、北谷氏は「ソニーでは、写真を上手に撮りたい気持ちがある人を全て『クリエイター』と捉えています。これまでも一括カメラ『α』譲りのプロ向け機能を提供してきましたが、日常のさっと撮りたいシーンで使いこなすのが難しいという声もありました。そこでAIを活用し、誰もが素早く一括で最適な設定の提案を受けられ、表現力のある写真を撮る楽しさを知っていただきたいという思いで開発しました」と語る。
このAIカメラアシスタントについては、発売前に海外のSNS公式アカウントでの発信が物議を醸す一幕があった。どのような理由からか。礒田氏は「海外での投稿がAIカメラアシスタントで本来意図した見せ方ではなかったことに加え、オリジナルの写真も選べることを言葉で示さず、ビジュアルで『ビフォー/アフター』のような見せ方をしたことによって誤解を生んでしまったと分析しています。ソニーとしては、提案も1つではなく複数見せるなど、より丁寧な見せ方をするべきだったと反省しています」と振り返る。
つまり、素のデータへの味付けではなく、選択肢の提案と捉えてよいだろうか。北谷氏は「Xperiaのデフォルトの画作りは、ありのままを忠実に再現することにこだわっています。AIカメラアシスタントも、生成AIで写真を派手に加工するのではなく、あくまでユーザーが撮影時に行う設定をAIが代行し、複数の表現を提案して選べるようにする設定補助の機能です。リアルなフォトグラフィーを提供する会社として、忠実な画作りを大切にする姿勢は変わりません」と述べる。
「より高画質な望遠が欲しい」という要望に応えたズームレンズ
望遠カメラのズームレンズについて、先代の「Xperia 1 VII」では3.5倍〜7.1倍の光学ズームだったが、今回見直された意図を教えてほしい。北谷氏は「前モデルの光学ズームレンジもご好評いただきましたが、『より高画質な望遠が欲しい』というお客様の声が非常に多く寄せられました。光学ズームレンジは本体の厚みとの兼ね合いが難しいため、今回はセンサーサイズを大型化し、4800万画素のセンサーから切り出すことで、画質劣化なく140mm相当(約5.8倍)を実現する判断をしました」と説明する。
実際に夜景を撮影してみると、最大ズームでもノイズが少なくきれいに撮れた。北谷氏は「センサーサイズの大型化に加えて、『RAWマルチフレームプロセッシング』というソフトウェア技術の進化も効いています。画像処理の前段階であるRAWの段階で画像を重ね合わせてノイズリダクションやHDR処理を行うことで、夜景はもちろん、逆光のシーンやナイトポートレートなどでも効果を発揮します。また、今回は3つのレンズ全てで同じ画素数のセンサーを採用しているため、どの画角でも高い画質を提供できるようになっています」と語る。
なぜ価格が20万円スタート? 伝統のmicroSDスロットも継承
関連記事として、「Xperia 1 VIII」に23万円超の価値はあるか、大更新のデザインとカメラ、『ソニーのこだわり』に迫る、という記事もある。ソニーの最新フラッグシップモデル「Xperia 1 VIII」は、独自のOREテクスチャーや更新されたカメラレイアウトを採用した。望遠カメラのセンサー大型化やAI機能の搭載で撮影性能が向上している。競合と比較して高価格帯だが、イヤフォンジャックやmicroSDスロット対応などソニー独自のこだわりが詰まった一台だ。
「Xperia 1 VIII」のカメラには大きく「3つ」の変化、AIカメラアシスタントの狙いに迫りつつ、ポイントを絞って撮って解説する。ソニーのフラッグシップスマートフォン「Xperia 1」も、早いもので8代目となった。今回は海外を中心に「AIカメラアシスタント」が話題になったけれど、実はそれ以外にも注目すべき変化点もある。全部ひっくるめて撮りつつチェックしていこう。
ソニーが「Xperia 1 VIII」で方向転換を図った理由、一般層に間口を広げるも、23万円超の価格がネックに。ソニーは望遠カメラの更新やAIカメラアシスタントを搭載したフラッグシップ「Xperia 1 VIII」を発表した。クリエイター向けからライト層へ間口を広げた背景には、Xperia 5シリーズの事実上の終了に伴うラインアップ集約がある。一方、最小構成で23万円超への値上げは、一括を重視する他社ハイエンド競争の中で販売への大きな挑戦となる。
「Xperia 1 VIII」は先代の「Xperia 1 VII」から何が進化した? デザインからカメラ、オーディオまで実機で解説。ソニーは5月13日に新型フラッグシップ「Xperia 1 VIII」を発表した。望遠カメラのセンサー大型化に伴い背面のデザインを更新。オーディオやAI撮影も強化されたが、前モデルの不具合を懸念する声もあり、真価が問われる一台だ。
「Xperia 1 VIII」のAIカメラ機能が凄かわったワケ、画質劣化ではなく選択肢の1つとソニーは説明。ソニーの海外SNS投稿を端緒に、Xperiaの新AIカメラ機能による写真の質を巡る議論が起きている。本件はソニー広報と開発担当者を直撃し、機能の意図が強制ではなく「選択肢」の提示にあると確認した。画質低下の指摘に対し同氏は、あえて分かりやすい変化を設計した上でユーザーが調整することを想定と述べた。



