ソニーグループは2026年7月15日、次世代電気自動車(EV)向けの車載画像センサー「IMX990」の量産を正式に開始した。同センサーは自動運転レベル4に対応し、従来品と比較して感度が2倍、ダイナミックレンジは120デシベルに向上している。これにより、夜間や悪天候下での物体認識精度が大幅に改善されると期待される。
量産開始の背景と技術的特徴
ソニーは長年、イメージセンサー市場で世界シェアトップを誇る。今回のIMX990は、同社の積層型CMOSセンサー技術をベースに、画素ごとに露光時間を制御する「ピクセル単位ゲイン制御」を新たに搭載。これにより、トンネルの出入り口のような急激な明暗変化にも対応可能となった。ソニーの車載事業責任者である田中氏は「IMX990は、自動運転の安全性を飛躍的に高める製品だ。特に、夜間の歩行者検知や、逆光での標識認識において、従来のセンサーでは困難だったシーンでの性能を実現した」と述べている。
量産はソニー子会社のソニーセミコンダクタソリューションズが熊本県の工場で行う。初期投資額は約500億円で、月産能力は10万個を見込む。同センサーはすでに国内外の主要自動車メーカー数社から採用が決定しており、2027年モデルからの搭載が予定されている。
自動運転レベル4への対応と市場への影響
自動運転レベル4は、特定条件下での完全自動運転を指す。IMX990は、カメラベースの認識システムにおいて、レベル4の信頼性要件を満たすために設計された。ソニーは、同センサーを搭載した車両が2028年までに公道でのレベル4運行を開始する目標を掲げている。
市場調査会社のデータによると、車載イメージセンサー市場は2025年に約30億ドル規模で、2030年には70億ドルに拡大する見通し。ソニーはこの市場でシェア40%以上を維持しており、IMX990の投入によりさらなる優位性を確保する狙いだ。
一方、競合他社も動きを見せている。サムスン電子やオムニビジョンも高感度センサーの開発を進めており、価格競争が激化する可能性がある。しかし、ソニーはIMX990の量産開始により、技術面でのリーダーシップを強調している。
今後の展開と業界の反応
ソニーは今後、IMX990をベースとしたセンサーシリーズを展開し、車載以外にも産業用ロボットや監視カメラ向けの展開も検討している。また、自動車メーカーとの協業を強化し、ソフトウェアとハードウェアの統合ソリューションを提供する計画だ。
業界アナリストの鈴木氏は「ソニーが量産に踏み切ったことで、自動運転センサーの性能基準が一段と引き上げられる。特に、ダイナミックレンジの向上は、安全運転に直結する重要な進化だ」と評価する。一方で、コスト面での課題も指摘されており、IMX990の価格は従来品より2割高いとされる。ソニーは量産効果によるコスト低減を図るとしている。



