英Raspberry Piは8月24日、Raspberry Piを使用した「サイバーデッキ」を自作するためのガイドを公開した。ガイドは公式ブログと、サイバーデッキを特集した「Raspberry Pi Official Magazine 168」で読める。
サイバーデッキとは何か
サイバーデッキは、ウィリアム・ギブスンの小説「ニューロマンサー」に登場する、サイバースペースに接続するための携帯型コンピューター「cyberspace deck」の略称である。2010年代に小型PC、DIY電子工作、3Dプリント、オープンソースOSの普及を背景に拡大したメイカー文化において、自作ポータブルPCが「サイバーデッキ」と呼ばれるようになった。
近年、サイバーデッキへの関心が再び高まっている。TikTokやYouTube、Redditなどで、個性的な作例やその製作過程を紹介する投稿が広がっている。こうした動きを受け、Raspberry Piは今回、自作するためのチュートリアルを公開した。
ガイドの内容と作例
サイバーデッキに厳密な製品カテゴリーとしての定義はないが、Raspberry Piなどの小型コンピューター、ディスプレイ、物理キーボード、電源、独自の筐体などを組み合わせた、用途や製作者の好みに合わせたポータブルコンピューターを指すことが多い。Raspberry Piはガイドのなかで、ウェアラブルコンピューターやポケットPC、ロケットや高高度気球の監視端末、オフライン環境で利用する情報端末などを例に挙げ、一般的なタブレットやPCでは満たせない用途に対応したり、自分だけのコンピューターを作るものと説明している。
ガイドでは、「オフグリッド生活に対応する」をテーマにしたポータブルPCを作例として、設計や組み立て手順、注意点を紹介している。パーツには、「Raspberry Pi 5」、128GBの「Raspberry Pi Flash Drive」、7型ディスプレイ「Raspberry Pi Touch Display 2」、Bluetoothキーボード「Rii RK302」、USBオーディオ基板などを採用。Touch Display 2の解像度は1280×720ピクセルで、タッチ操作に対応するため、多くの場合マウスを必要としない。筐体には11.5インチのPelicanスタイルの防水ハードケースを使用している。
構成要素と電源設計
Raspberry Piは、サイバーデッキの主要な構成要素を「演算・ストレージ」「周辺機器」「電源」「ケース」の4つに分類している。消費電力、処理性能、サイズを考慮する必要があり、一般的なPC向けCPUを使ったシステムより消費電力を抑えやすいシングルボードコンピューター(SBC)が適していると説明。ストレージにはSDカードやUSBメモリ、USB SSD、M.2 NVMe SSDなどの選択肢を挙げている。
電源設計については、搭載する各機器の消費電力を積算して必要容量を算出する手法を紹介している。作例の場合、Raspberry Pi 5本体の最大消費電力25Wに、Touch Display 2の最大輝度時消費電力が約3Wで、合計28W(電流換算で約5.6A)以上の電源が必要になる。電源にはモバイルバッテリーやUPS HAT、バッテリーとDC-DCコンバーターを組み合わせた構成などを利用できる。今回の作例では、LiPoバッテリーとインラインヒューズ、5V・5Aを出力するDC-DCコンバーターを組み合わせた。
組み立て手順と拡張例
組み立てでは、最初に段ボールを使って部品配置を試作し、CADソフトで支持部品を設計した。その後、支持部品などを3Dプリンターやレーザーカッターで製作し、ディスプレイ、スピーカー、Raspberry Pi本体、バッテリー、キーボードをケース内に組み込んだ。さらにRaspberry Pi Picoを追加し、サブディスプレイやLEDを制御したり、センサーを接続して消費電力やバッテリー残量を監視する拡張例も紹介している。



