三菱電機は2025年6月25日、企業や自治体向けに人工衛星のデータを活用した温室効果ガス排出量可視化サービスの提供を目指すと発表した。H-IIAロケット最終号機で打ち上げられた「いぶきGW(GOSAT-GW)」などによる実機実証を進める。
JOGMECの公募事業を受託
エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)が公募した2026年度「衛星データを用いた温室効果ガスの排出源特定および測定に向けた技術検証事業」の業務委託先として三菱電機が選ばれ、両者が契約を締結した。三菱電機は、衛星データサービス(SDS)、日揮グローバル(JGC)、三菱電機ソフトウエア(MESW)、GHGSatと連携し、さらにパートナーシップ契約を結んだ三菱UFJ銀行の知見も活用して事業を実施する。
実地条件下でのメタン検出性能を検証
今回の事業では、三菱電機がこれまでのサービス構築検討で得た知見を生かし、いぶきGWとGHGSatの衛星コンステレーションが取得したデータをもとに、実際の衛星データを用いて実地条件下でのメタン排出の検出・定量化の性能を検証する。同時に、実運用に向けた技術要件や運用手順を整理する。
国連枠組みへの適用可能性も検討
さらに、衛星によるメタン排出量の計測結果について、国連環境計画(UNEP)が主導する「OGMP 2.0」(石油・ガス業界向けメタン排出削減と報告精度向上のフレームワーク)への適用可能性を検討し、今後の実証や事業化に資する知見を取りまとめる。また、天然ガスやLNG生産設備における衛星データを用いた「トップダウンアプローチ」(衛星や地上観測ステーションで大気中のメタンをマクロ計測する方法)による共同実証の可能性も検討する。
メタン排出削減の重要性
温室効果ガスの排出量削減は地球温暖化対策の重要課題であり、排出源や排出量の正確な把握の重要性が高まっている。特に、火力発電の燃料として使われる液化天然ガス(LNG)の主成分であるメタンは、二酸化炭素に比べて高い温室効果を持つ。そのため、LNGサプライチェーンをはじめとするエネルギー分野では、メタン排出源の把握や漏えいの早期発見、排出実態の透明性向上が求められている。
2024年からのパートナーシップを発展
三菱電機は2024年に三菱UFJ銀行、SDS、GHGSatと、衛星データを利用した温室効果ガス排出量の可視化に関するパートナーシップ契約を締結済みだ。4社で、いぶきGWやGHGSatの衛星コンステレーションから取得したデータを活用し、温室効果ガス排出量の可視化と排出源特定を行うサービス構築に向けた取り組みを進めてきた。具体的には、いぶきGWで広域観測を行って排出エリアを効率的に把握し、異常が疑われる地点のヒント(Tip)を得た上で、局所観測を担うGHGSatの衛星コンステレーションに合図(Cue)を送り、当該地点を詳細に観測する「Tip&Cue」運用の実現性を検討してきた。



