ドローン戦争の現実:ウクライナ紛争が変えた現代の防衛、日本はどう備えるか
ドローン戦争の現実:ウクライナ紛争が変えた防衛、日本の備え

ウクライナや中東での紛争を通じて、戦時におけるドローンの脅威が現実味を増している。防衛省も迎撃ドローンの早期取得プログラムを開発するなど、日本においても対岸の火事とは言えない状況だ。

戦いの主役はドローンへ:様変わりする現代の防衛

ウクライナ防空軍顧問のオレクサンドル・ジャン・ヴォロビョフ氏と、同氏が知見を提供する国内ドローン企業・テラドローンの藤田裕司氏(防衛事業UAV/USV担当)は、このように警鐘を鳴らす。すでにウクライナや中東では1000~2000kmを飛行するドローンも登場しており、海を越えた攻撃も懸念されるという。国際関係が緊迫するいま、日本はドローンの特性をどう判断し、どう対策する必要があるのか。2人の見解を聞いた。

現代の戦争は「ドローン戦争」

ヴォロビョフ氏は「最大の変化は、戦いの主役が人からドローンへ移ったことです。最前線での人間の役割は、もはやその地域を維持し、そこに存在することだけ。兵士がライフルや銃で直接戦い合うことはほとんどなく、前線を維持しているにすぎません。他の作業はすべてドローンが担います」と指摘する。敵陣を叩くのは銃を持った兵士ではなくドローンであり、ドローンが味方には食料や弾薬を、敵には爆発物を届ける。前線と戦場そのものについて言えば、現代戦は完全に「ドローン戦争」だと言ってよく、少なくとも最前線からおおよそ20~25kmの範囲ではそうだと述べた。

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戦域はより深く、より広く

ヴォロビョフ氏は、戦いの及ぶ範囲はより深くなると説明する。「新しいエンジンやバッテリーでドローンがますます遠くへ飛べるようになるほど、戦域は双方とも奥へ奥へと広がる。かつて戦域の境界は砲兵と砲弾の射程で決まっていました。今は違う。砲兵はドローンより『飛ばない』からです。今や戦域の境界を決めるのはドローンであり、それが戦場の『ものさし』になっています」と語る。

藤田氏は、ドローン企業の観点から補足する。「これまでの戦争は、戦車や戦闘機のように高価で高性能、数の限られた兵器が重要でした。それがウクライナでの戦いを経て、ドローンの重要性が一気に高まっています」。ウクライナ側が2025年にドローンで迎撃したドローンの数は、小型から大型まで全種類を合わせて2万機に上る。主役になっているのは、1台10万~20万円程度で作られる安価なドローンだ。安価で数が多いドローンを、戦場に合わせて3カ月ごとに性能をアップデートしていく流れが続いているという。

先日のイランでの紛争でも、ドローンが目立ちましたが、どう見ていますか

ヴォロビョフ氏は「私は現地にいなかったので、ウクライナほど詳しくは語れません。ただ防空の人として興味深いのは、技術が国境を越えて循環していることです」と述べる。まずイランの「シャヘド」型ドローンがロシアに渡り、ロシアがそれを基に「ゲラン」型ドローンを生み出した。そしてイランは、そのゲランを使って標的を攻撃した。シャヘドがゲランへと進化し、ゲランとしてイランに戻ってきたわけだ。私たちは当初から、シャヘドがロシアに渡れば世界中が問題を抱える、と伝えてきた。だが誰も手を打たなかった。数年後、ロシアはそこからゲランを作り、そしてイランはそのゲランを使って敵国を攻撃したという。技術をロシアに渡せば、いずれ自分に向けて使われる。まさにわれわれが懸念していたことだと警鐘を鳴らす。

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「島国だから安全」ではない:ヴォロビョフ氏から見た日本

日本は島国だが、だからといってドローンの脅威が無視できるわけではない。ヴォロビョフ氏は「島国だから安全という考えは危険だ。ドローンは海を越えて飛来する可能性がある。ウクライナや中東ですでに1000~2000kmを飛行するドローンが登場しており、日本も例外ではない」と警告する。国際関係が緊迫する中、日本はドローンの特性を正しく理解し、対策を急ぐ必要がある。

防衛装備庁は、攻撃型のドローンに対処する「迎撃ドローン」を早期に取得するため、民間企業からの提案を募集している。7月の実証実験を経て、運用に適すれば早ければ8月にも量産契約に進める。小野進次郎防衛相も自身のXで提案を呼びかけている。防衛装備庁は、国産ドローン300機を1.1億円で導入へ。日本企業と契約し、テラドローンの「モジュール型UAV(汎用型)教育用」300機を導入する。防衛装備庁は、研究開発を進める兵器「レールガン」の動画をYouTubeに掲載した。実験艦「あすか」に搭載したレールガンの海上射撃実験を収めており、さまざまな射角で弾頭を発射する様子やそのハイスピードカメラ映像、標的船を射撃する様子などを確認できる。