東京大学の研究チームは14日、人工知能(AI)を活用した創薬プロセスにより、新薬の開発期間を従来の約3分の1に短縮できることを実証したと発表した。この技術は、製薬業界の長年の課題である開発コストと時間の削減に道を開くものとして注目される。
AIが創薬プロセスを革新
研究を主導した東京大学大学院薬学系研究科の山田太郎教授(仮名)によると、チームは機械学習アルゴリズムを用いて、数百万の化合物から特定の疾患に有効な候補物質を高速で選別するシステムを構築した。従来の手法では、候補物質の選定に平均で約5年を要していたが、AIの導入により約1年半に短縮されたという。
このシステムは、既存の医薬品データベースや遺伝子情報、タンパク質構造データなどを学習し、疾患の原因となる分子標的に対して最適な化合物を予測する。さらに、副作用のリスクが低い化合物を優先的に選ぶことで、後期の臨床試験での失敗率を低下させる効果も期待されている。
実証実験の成果
研究チームは、難治性の肺がんを対象にした実証実験で、AIが選定した化合物のうち3つが、従来の候補物質と同等以上の抗腫瘍効果を示したことを確認した。このうち1つは、既に動物実験で安全性が確認され、早期の臨床試験入りが検討されている。
「AIによって創薬のボトルネックが解消されれば、患者さんに新しい治療法を迅速に提供できるようになる」と山田教授は述べ、今後の実用化に期待を示した。
製薬業界への影響
この技術は、製薬企業の研究開発費の削減にも寄与する。新薬1つの開発にかかるコストは現在、平均で約1000億円とされるが、AI活用により約3分の1に圧縮できる可能性がある。特に、開発期間の短縮は特許期間の有効活用につながり、収益性の向上が期待される。
一方で、AIが導き出した候補物質の有効性や安全性を検証するための臨床試験は依然として必要であり、AI創薬が完全に人間の判断を代替するわけではない。しかし、今回の成果は、AIが創薬の初期段階で大きな威力を発揮することを示しており、国内外の製薬企業やバイオベンチャーがこぞってAI創薬の研究開発に乗り出すきっかけとなりそうだ。
今後の展望
東京大学は、このAI創薬システムをオープンソースとして公開し、産学連携によるさらなる発展を目指す方針だ。また、他の疾患への応用や、副作用予測の精度向上など、研究の幅を広げていくという。
日本政府も、AI創薬を国家戦略の一つに位置付けており、関連するスタートアップへの支援を強化している。今回の成果は、日本の創薬分野における国際競争力の強化につながるものと期待されている。



