牛培養肉、来年1月にも試験生産へ 世界初の生産ラインを阪大に新設
牛培養肉、来年1月にも試験生産へ 世界初の生産ライン

動物の細胞から作る「培養肉」について、大阪大などの共同事業体が、食品衛生管理の国際手法「HACCP(ハサップ)」に沿った生産ラインを新設し、牛の培養肉の試験生産を来年1月にも始める。共同事業体によると、本物に近い形状を持つ培養肉の生産ラインは世界初。国は培養肉の販売に向けた指針作りを進めており、共同事業体は2030年度の商業化を目指す。

世界初の生産ライン、阪大キャンパスに設置

共同事業体は「培養肉未来創造コンソーシアム」で、23年に発足。基礎技術を開発した松崎典弥・阪大教授(応用化学)を中心に、装置の自動化技術を持つ島津製作所や3Dプリント技術に強いTOPPANホールディングスなどが参画している。

培養肉は世界人口の増加に伴う食料不足を打開する食材として、各国で研究開発が進む。米コンサルタント会社によると、40年には世界の肉類市場の35%を培養肉が占めると予測される。牛の飼育には大量の水や餌が必要で環境への負荷が大きい。牛のげっぷには温室効果ガスのメタンも多く含まれ、牛の培養肉への期待が高まっている。

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本物に近い味と食感を実現

シンガポールなどでは培養肉の実用化が始まっているが、植物成分を混ぜたり、筋肉の細胞だけを大量に増やしたりしたミンチ状の肉が主流だ。共同事業体が手がける培養肉は、牛の筋肉や脂肪の細胞を培養して3Dプリンターで繊維状にしたものを束ね、牛肉の構造に成形する。本物に近い味や食感を実現し、昨年の大阪・関西万博でも展示された。

初の生産ラインは、阪大吹田キャンパス(大阪府吹田市)の研究棟に設けられ、細胞の培養から肉の成形まで約1か月で製造する。

安全性の確保と商業化への道筋

学内の倫理委員会の承認を得た上で、生産した培養肉を実際に食べる試験を行い、味や香り、食感の向上につなげる。今後、共同事業体が中心となって製造するか、外部の事業者に製造委託するかなど、具体的な実用化策を検討していく。当面の目標として、100グラム4500円程度での販売を目指す。

国内では現在、培養肉の販売は認められていない。消費者庁の専門家部会が近く、培養肉の安全性を確保するためのガイドライン(指針)を策定する予定で、共同事業体の商用生産ラインはこの指針の内容に合わせるという。共同事業体代表の松崎教授は「まずは安心して食べられる仕組みを示したい。レストランで提供する形から始めて、将来的には培養肉を大規模生産できる体制を目指す」と話している。

HACCPは、全ての工程で安全確保の手順を決めたり、記録したりする国際標準の衛生管理手法。国内では2021年、全ての食品事業者に導入が義務化された。

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