介護ロボに脳の「予測する力」応用、1つのAIで多様な介護動作を学習
介護ロボに脳の予測する力応用、1つのAIで多様な動作学習

少子高齢化と人手不足が加速する中、介護現場を支えるロボットへの期待が高まっている。介護には多種多様な動作が伴うが、その一つ一つを個別にプログラミングするのではなく、単一の計算原理によって作業を可能にする人工知能(AI)を、国立精神・神経医療研究センターと早稲田大の研究チームが開発した。

予測して動く脳の仕組みを再現

工場などの整った環境で決まった作業を行う従来の産業用ロボットに対し、フィジカルAIには、不確実で複雑な環境下で人間と共存・協働しながら幅広い作業をこなすことが求められる。この柔軟性を実現するため、人間の脳のメカニズムをAIに取り入れる研究が進んでいる。

人間は、視覚や触覚、身体感覚から得られる膨大な情報を統合して、さまざまな環境や作業に柔軟に対応することができる。このときに脳は、外部から情報を待つだけでなく、「行動によってどのような感覚が得られるのか」をあらかじめ予測する。実際に行動した際の感覚との誤差を学習して、動作を最適化する。

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約3万の情報をそのまま入力

例えば、コップを手に取ろうとするとき、私たちは無意識にコップの重さや硬さを推測して、それに合った力を出す。コップが極端に重いなど、予測との誤差が大きければ、うまく手に取ることができない。しかし、多少の誤差であれば柔軟に対応できる。予測処理に基づいた動作は、誤差が生じた部分を主に処理すればよいため、脳や身体のリソースを効率的に使う仕組みとされる。

予測処理をロボットの制御に使おうとする研究は2000年頃から存在したが、あらかじめ必要なデータを整理したり抽出したりして、限られた種類のデータをロボットに与えて処理させるものだった。今回の研究では、データの整理や抽出なしに、膨大な情報をそのまま入力した。

具体的には、ロボットのカメラから得られる視覚情報のほか、関節の角度や関節にかかる力などの身体情報を用いた。人間が予測処理に用いる情報量には及ばないものの、従来の研究で数種類程度にとどまっていたロボットが扱う情報の種類を、約3万に増やした。

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