東京大学などの研究グループが、コウモリが小型の鳥を空中で捕まえる様子を世界で初めて撮影することに成功した。夜空にサーチライトを向け、デジタルカメラで追跡した。この成果は、コウモリが持つ「エコーロケーション」能力を駆使した高度な採餌戦略の解明につながるという。
ヤマコウモリの鳥類捕食を実証
コウモリは昆虫や植物など食性が多様で、地上の脊椎動物や鳥類を捕食するものもいる。東京大学大学院農学生命科学研究科の福井大准教授(生態学)によると、日本を含む温帯域では、普段は昆虫を捕食している3種のコウモリが、特定の時期に小型の鳥を餌にしていることが糞の分析から分かっている。
日本ではこのうち、翼を広げると40センチほど、体重が40グラムほどのヤマコウモリが鳥を食べる。ただ、実際に鳥を捕獲する様子の観察は難しく、「ねぐらで休んでいる鳥を襲う」説と「飛んでいる鳥を捕まえる」説があった。近年はGPS(衛星利用測位システム)による追跡などから、空中で捕獲しているとの見方が有力になっている。
8晩の観察で捕獲の瞬間を記録
福井准教授は「青森県内にある鳥の観察地でヤマコウモリが見られる」という情報をもとに、2023年10月11日から18日まで、鳥類の専門家と8晩にわたって観察した。サーチライトで上空を照らし、ヤマコウモリが現れるとデジタルカメラで追跡。鳥を追いかける様子や空中で捕獲する様子を撮影した。
コウモリが鳥を追いかける場面は56例観察され、うち22例で捕まえようとして鳥に接触。実際に捕獲に成功したのは6例だった。鳥の種類が分かった33例については、ウグイス15例、アオジ9例、クロジ4例など、概ね30グラム以下の小型の鳥が多かった。アオバトやマミチャジナイなど自分より大きい鳥を追いかけることもあったが、近づいて接触するまでには至らなかった。
今後の研究と論文掲載
今回の観察によって、ヤマコウモリが鳥を空中で捕まえている事実が証明された。今後は、捕まえた鳥をどこでどのように食べるのか、エコーロケーション能力をどう駆使しているのかなどを調べていくという。研究は同志社大学やオホーツクコウモリ研究会、日本渡り鳥保全・研究グループなどと共同で実施し、米生態学会誌「エコロジー」に7月19日付けで論文が掲載された。



