台湾TSMC、熊本工場の生産開始を2024年10月に前倒し
TSMC熊本工場、生産開始を10月に前倒し

台湾の半導体受託生産世界最大手、TSMC(台湾積体電路製造)は、熊本県菊陽町に建設中の第1工場の生産開始を当初計画の2024年12月から2カ月前倒しし、同年10月にすると関係者が明らかにした。この前倒しは、日本政府が推進する半導体産業の国内回帰戦略に大きな弾みをつけるものとなる。

TSMC熊本工場の生産開始スケジュール

TSMCの熊本工場は、ソニーグループやトヨタ自動車などが出資する子会社「JASM(Japan Advanced Semiconductor Manufacturing)」が運営する。同工場は、22〜28ナノメートルのプロセス技術を採用し、主にイメージセンサーや自動車向け半導体を生産する予定だ。生産能力は月間5万5000枚(300ミリウェハー換算)を見込む。

関係者によると、工場の建設は順調に進んでおり、クリーンルームなどの主要設備の導入が計画より早まったため、生産開始を前倒しできるめどが立ったという。TSMCはこれまで、2024年12月の量産開始を公表していたが、実際には10月から試験生産を始め、年内に本格稼働に入る見通し。

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日本政府の半導体戦略への影響

日本政府は、経済安全保障の観点から半導体の国内生産基盤強化を重要政策の一つに掲げている。TSMCの熊本工場には、経済産業省が最大4760億円の補助金を拠出することを決定しており、これは日本の半導体戦略の中核をなすプロジェクトだ。

経産省幹部は「TSMCの前倒しは、日本の半導体産業の競争力回復に向けた大きな前進だ。他の海外半導体メーカーの日本進出にも弾みがつく」と評価する。実際、米半導体メーカーのインテルや韓国のサムスン電子も、日本国内での生産拠点設立を検討していると報じられている。

熊本工場の経済効果と地元への影響

熊本工場の稼働は、地元経済にも大きな波及効果をもたらすと期待されている。工場の従業員数は約1700人を見込み、関連企業の進出も相次いでいる。熊本県は、工場周辺のインフラ整備や人材育成に積極的に取り組んでおり、半導体関連産業の集積を目指す。

一方で、工場の稼働に伴う水資源の消費や交通渋滞などの課題も指摘されている。TSMCは、水のリサイクル率を90%以上にする計画で、環境負荷の低減に努めるとしている。

TSMCのグローバル戦略と日本の位置づけ

TSMCは、台湾の本社工場に加え、米国アリゾナ州やドイツ・ドレスデンにも工場を建設中だ。熊本工場は、同社のグローバル展開の中でも特にアジア市場向けの供給拠点として重要な役割を担う。

TSMCの劉徳音(マーク・リュー)会長は以前、「日本のエンジニアの技術力と勤勉さは世界最高水準だ。熊本工場はTSMCの品質基準を満たすと確信している」と述べている。今回の前倒し決定は、日本の半導体産業の潜在能力に対するTSMCの信頼の表れとも言える。

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