トヨタ自動車と日産自動車が、電気自動車(EV)向けの次世代パワー半導体を共同開発することで基本合意した。両社は2027年までの量産開始を目指し、これまで個別に進めてきた技術開発を統合することで、開発期間の短縮と投資負担の軽減を図る。
背景と目的:EV競争激化に対応
世界的なEVシフトの加速を受け、両社は車両の電費性能を左右するパワー半導体の重要性が増していると判断。特に、シリコンカーバイド(SiC)や窒化ガリウム(GaN)といった次世代素材を用いた半導体は、従来のシリコン製に比べて電力損失を大幅に低減できるため、航続距離の延長に直結する。両社の共同開発により、それぞれが持つ知見や特許を共有し、効率的な開発を進める。
開発の詳細:SiCとGaNに注力
共同開発の対象は、主にSiCとGaNを用いたパワー半導体。トヨタはこれまで、ハイブリッド車向けにSiC半導体を自社開発してきた実績があり、日産はGaN半導体の研究で先行している。両社はこれらの技術を融合させ、より高性能で低コストな半導体の量産技術を確立する。量産は、両社がそれぞれの生産拠点で行うことを想定している。
期待される効果:航続距離とコストの両面で優位に
新しい半導体の採用により、EVの電費を現状比で最大30%改善できる見込み。これにより、同じバッテリー容量でも航続距離を延ばすことが可能となる。また、量産効果により半導体の製造コストを20%以上削減でき、車両価格の低減にも貢献する。トヨタの関係者は「共同開発により、EVの普及を加速する重要な技術を早期に確立できる」と述べている。
業界への影響:他社との協業も視野
今回の合意は、自動車業界における半導体開発の新たな流れを示すものだ。これまで各社が独自に開発してきた基幹部品を、競合他社と協業することで、開発リスクを分散し、スピードを重視する戦略に転換した。日産の技術責任者は「競争領域と協調領域を明確にし、効率的な開発を進めることが重要だ」とコメントしている。両社は今後、他の自動車メーカーや半導体メーカーとの連携も視野に入れている。



