台湾唯一の民間オーケストラ、エバーグリーン交響楽団(エバーグリーン響)が今月来日し、東京と新潟で公演を行う。オランダ出身の世界的指揮者ヤープ・ヴァン・ズヴェーデンが率いる同楽団は、アジアトップのオーケストラを目指して成長を続けており、その実力を日本の聴衆に披露する。
エバーグリーン響の歩みと戦略
エバーグリーン響は2002年、台湾の運輸最大手エバーグリーングループの一員として創設された。当初は民族音楽なども演奏していたが、約10年前に「アジアでトップのオーケストラをめざす」戦略を打ち出し、海外留学経験のある実力派奏者を積極的に登用。昨年からは、ニューヨーク・フィルハーモニックの音楽監督などを歴任したズヴェーデンがアーティスト・イン・レジデンスに就任し、音楽作りに責任を持つ立場となった。
台北公演の実績
6月5日に台北の国家音楽庁で行われた公演では、ヴェルディの「レクイエム」が演奏された。一糸乱れぬ弦楽器群の研ぎ澄まされた音と迫力ある響きが、ズヴェーデンの速めのテンポと切れの良い指揮と相まって、死を前にした人間の恐怖の感情をすごみを増して伝えた。音色や細部の表現にやや単調さを感じたものの、技術レベルは高く、指揮者の意図を十分にくんだ先鋭的な演奏だった。
ズヴェーデンが語るアジアのオーケストラ
ズヴェーデンは香港フィルハーモニーやソウル・フィルハーモニーなどアジアの楽団との関わりが深く、その特徴に満足していると語る。「私は『規律の中の自由』を愛します。アジアの奏者は向上心が強く、西洋音楽の伝統に敬意を払いつつ独自の『魂』をもって演奏する。そこに文化の多彩な融合が生まれるのです」
オーケストラをリードするのは、欧米の楽団から引き抜かれた腕利きの若手奏者たちだ。終演後の取材に対し、奏者らは「リハーサルはとても厳しいけれど、要求は明確でわかりやすい」「テンポは速いが、指示は具体的で合理的」「豊富な経験を生かし、強いリーダーシップを発揮してくれるので迷いはない」と感想を述べた。
ズヴェーデンの指導と楽団の未来
「オーケストラを一流にするには時間がかかるが、そのプロセスは実りある豊かな時間です」とズヴェーデンは言う。オーケストラを鍛えることに定評のある指揮者だけに、エバーグリーン響は名前の通りフレッシュで「不朽の音楽」を実現してくれる存在だろう。彼らの挑戦の成果を確かめる絶好の機会となる。
来日公演の詳細
公演は以下の日程で行われる。演目はトーマス・ハンプソン(バリトン)独唱でマーラーの「子供の魔法の角笛」(抜粋)と交響曲第1番「巨人」。
- 7月21日午後7時、池袋の東京芸術劇場(読売新聞社後援)。問い合わせは電話0570-010-296。
- 7月22日午後7時、新潟のりゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館。問い合わせは電話025-247-0900。



