トクヤマは9月10日、窒化アルミニウム粉末の需要拡大に対応するため、山口県柳井市の先進技術事業化センターに生産設備を新設し、生産能力を現行比で約30%増強することを発表した。新設備は2028年4月の営業運転開始を予定する。
供給確保計画に基づく設備投資
今回の計画は、経済安全保障推進法に基づく供給確保計画の認定を受けて実施する。半導体製造装置向け部材や熱伝導材料向け放熱フィラーに用いられる窒化アルミニウム粉末の供給体制を強化する。
窒化アルミニウムは、高い熱伝導性と電気絶縁性に加え、プラズマガスに対する耐腐食性を備えるセラミックス材料。半導体製造装置では、ウェハを保持・加熱する部材など、プラズマや腐食性ガスにさらされながら、高い温度均一性や電気絶縁性が求められる用途に使用される。
放熱フィラーとしての用途も拡大
また、熱伝導材料向けの放熱フィラーとして樹脂などへ添加し、半導体や電子部品から発生する熱を逃がす用途にも用いられる。電気を通しにくい一方で熱を伝えやすいため、絶縁性と放熱性の両立が求められる電子機器に適している。
AI関連投資の拡大によって半導体の演算性能や消費電力が高まる中、半導体製造装置の高度化に加え、AIサーバーや電力変換回路などにおける熱対策の重要性も増している。トクヤマは、こうした市場の中長期的な成長によって、窒化アルミニウム粉末の需要が拡大すると見込む。
1985年から続く独自技術
トクヤマは1985年から、山口県周南市の徳山製造所において、独自の還元窒化法による窒化アルミニウム粉末の製造・販売を行ってきた。還元窒化法は、アルミナを炭素で還元しながら窒素と反応させて窒化アルミニウムを合成する製造方法で、同社は長年蓄積してきた製造技術を活用し、高品質な窒化アルミニウム粉末を供給してきた。
今回の計画では、先端技術の研究成果を量産へつなげる先進技術事業化センターに新たな生産設備を設置する形で生産能力を約30%引き上げ、需要拡大への対応と供給の安定化を図る。
国内生産能力の強化で安定供給へ
窒化アルミニウムは、半導体製造装置や高性能電子機器に用いられる材料であり、半導体サプライチェーンを支える重要な素材の1つとなる。今回の設備投資は、国からの支援を受ける形で国内での生産能力を増強することで、需要増加への対応に加え、先端半導体の製造や電子機器の熱対策を支える材料の安定供給につなげる考えだ。
トクヤマは2028年4月の営業運転開始に向けて設備の整備を進め、窒化アルミニウム粉末を含む先端材料分野の競争力を強化していくとしている。



