東洋経済の新連載「写真で見る日本経済」第5回:半導体工場の建設ラッシュが地方を変える
半導体工場建設ラッシュが地方を変える

半導体工場の建設ラッシュが日本各地で起きている。熊本県菊陽町では台湾積体電路製造(TSMC)の工場が2024年に稼働予定で、関連投資は1兆円を超える。北海道千歳市ではラピダスの工場建設が進む。地方経済への影響は大きく、雇用創出や税収増が期待される一方、インフラ整備や人材確保が課題だ。

TSMC熊本工場のインパクト

TSMCの熊本工場は、ソニーグループやデンソーとの合弁で設立されたJASMが運営する。総投資額は約1兆2000億円で、うち経済産業省が最大4760億円を補助する。工場は2024年12月に量産を開始する予定で、22ナノメートルから28ナノメートルの半導体を生産する。これにより、約1700人の雇用が創出される見込みだ。

地元経済への波及効果は大きい。菊陽町の税収は2021年度の約20億円から、2024年度には100億円を超えると予想される。また、関連企業の進出も相次いでいる。東京エレクトロンや信越化学工業などが熊本県内に拠点を設ける計画だ。

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ラピダス北海道千歳工場

北海道千歳市では、ラピダスが先端半導体の製造工場を建設中だ。総投資額は約5兆円とされ、政府は3300億円の補助を決定した。2025年から試作ラインを稼働させ、2027年には量産を開始する目標だ。この工場では2ナノメートル世代の半導体を生産し、世界最先端の技術を目指す。

千歳市の人口は約9万5000人で、工場建設に伴い数千人の雇用が生まれると期待される。しかし、地元の労働力だけでは不足するため、全国からの人材確保が必要となる。また、住宅や学校などのインフラ整備も急務だ。

地方経済への影響と課題

半導体工場の建設は、地方に大きな経済効果をもたらす。熊本県では、TSMC工場の関連投資により、2021年から2030年までの累計で約4兆3000億円の経済波及効果が試算されている。北海道でも、ラピダス工場により約10兆円の効果が見込まれる。

一方で、課題も多い。人材不足は深刻で、熊本県では半導体技術者の獲得競争が激化している。また、水や電力の需要増加に対応するためのインフラ整備が必要だ。菊陽町では、地下水の枯渇を懸念する声も上がっている。

政府の支援と今後の展望

政府は半導体産業の国内回帰を後押しするため、補助金や税制優遇を拡充している。2023年度の補正予算では、半導体関連に約1兆3000億円を計上した。これにより、国内外の半導体メーカーの日本進出が加速している。

専門家は「半導体工場の建設ラッシュは、地方経済の活性化につながるが、持続可能な発展のためには地元企業との連携や人材育成が不可欠だ」と指摘する。今後の動向が注目される。

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