世界的な半導体不足と地政学的リスクの高まりを受け、日本では半導体産業の国内回帰が急速に進んでいる。政府は2020年代後半までに最先端チップの量産体制を確立する目標を掲げ、補助金や税制優遇措置を通じて企業の設備投資を後押ししている。
官民一体の取り組み
経済産業省は国内半導体メーカーや研究機関と連携し、次世代半導体の開発拠点を複数立ち上げた。特に2ナノメートル世代のロジック半導体の実用化を目指すプロジェクトでは、トヨタ自動車やソニーグループなど幅広い業種からの参画が決まっている。
また、台湾積体電路製造(TSMC)の熊本工場稼働に続き、ラピダスによる北海道千歳市での先端半導体工場建設も始動。これにより、国内における設計・製造・検査の一貫体制が整いつつある。
課題と今後の展望
一方で、半導体産業の復活には多くの障壁が存在する。最大の問題は人材不足であり、電気・電子工学を専攻する学生の減少や、高度な技術を持つエンジニアの高齢化が深刻だ。政府は大学や高専と連携した教育プログラムの拡充を進めるが、即効性は期待できない。
さらに、製造装置や材料の多くを海外に依存している現状もリスク要因だ。経済安全保障の観点から、重要物資の国内調達率を高めるための政策が求められている。
半導体は自動車、家電、AIなどあらゆる産業の基盤である。日本の競争力回復は、単なる一産業の再生にとどまらず、国全体の技術主権を左右する課題と言える。



