政府は半導体産業の競争力強化に向け、官民連携で次世代チップの開発・生産に5兆円規模の投資を行う方針を固めた。2027年度までの5年間で、国内の半導体生産基盤を整備し、先端技術の確立を目指す。
官民ファンド創設へ
経済産業省が中心となり、新たな官民ファンドを創設する。政府は既存の「半導体・デジタル産業戦略」を拡充し、総額5兆円のうち約3兆円を国費で賄う方針。残りは企業の負担を見込む。対象は、2ナノメートル以下の最先端ロジック半導体や、AI向けの高性能メモリーなどだ。
政府関係者は「半導体は経済安全保障の要。官民一体で取り組む必要がある」と強調する。米中対立の激化でサプライチェーンのリスクが高まる中、国内での生産能力確保が急務となっている。
国内企業の参画促進
政府は、国内半導体メーカーや素材・装置メーカーなどの参画を促す。特に、ラピダスやキオクシアなど既存のプロジェクトへの追加投資も検討する。また、海外企業との連携も視野に入れ、台湾のTSMCや米国企業との協業を模索する。
経済産業省の担当者は「この投資で、日本の半導体産業の国際競争力を2030年までに回復させる」と述べた。具体的な数値目標として、国内半導体生産額を現在の約5兆円から2030年には15兆円に引き上げることを掲げる。
課題と今後のスケジュール
一方で、人材不足や電力コストの高騰が課題だ。政府は半導体人材の育成に3000億円を充て、大学や研究機関と連携したプログラムを開始する。また、再生可能エネルギー由来の電力を半導体工場に優先供給する制度を検討する。
スケジュールとしては、2024年度中にファンドの詳細を決定し、2025年度から投資を開始。2027年度までに最初の量産ラインを稼働させる目標だ。
専門家は「官民の大規模投資は評価できるが、持続可能なビジネスモデルを構築できるかが鍵」と指摘する。政府は、投資の進捗を毎年評価し、必要に応じて戦略を見直す方針だ。



