電気自動車(EV)向けバッテリー市場で、中国勢の躍進が止まらない。調査会社SNEリサーチによると、2023年の世界市場における中国・寧徳時代新能源科技(CATL)と比亜迪(BYD)の合計シェアは50%を超え、日本のパナソニックホールディングスは4%台にとどまった。韓国のLGエナジーソリューションやサムスンSDIもシェアを伸ばすが、中国勢の牙城は厚い。
中国勢が席巻する理由
CATLは2023年、世界シェア36.8%で首位を堅持。BYDはリチウム鉄リン酸鉄(LFP)電池で攻勢をかけ、シェア15.8%で2位に浮上した。両社の強みは、コスト競争力と生産能力の拡大にある。CATLはドイツやハンガリーに工場を建設中で、欧州市場でも存在感を高めている。
一方、日本勢はパナソニックがテスラ向けに供給する円筒型電池でシェア4.2%と苦戦。日立造船やエンビジョンAESCもシェアは1%未満だ。日本の電池産業は、1990年代にリチウムイオン電池を実用化した先駆者だが、EVシフトで後れを取った。
韓国勢の追い上げ
韓国勢では、LGエナジーソリューションがシェア13.6%で3位、SKオンが4.9%で5位、サムスンSDIが4.6%で6位。LGはGMとの合弁工場を米国に建設するなど、北米市場で攻勢をかける。ただし、中国市場では中国勢の壁が厚く、シェア拡大は容易ではない。
「中国勢の優位は当面続くが、欧米の政策支援やリサイクル技術の進展がゲームチェンジャーになる可能性がある」と、業界関係者は指摘する。
欧米の巻き返しと今後の展望
欧州では、スウェーデンのノースボルトが2023年に量産を開始し、BMWやフォルクスワーゲンと提携。米国では、テスラが自社生産を強化するほか、インフィニオンやクアルコムなどが半導体技術で参入する動きがある。ただし、原材料の調達や生産コストの面で中国勢に追いつくには時間がかかる。
SNEリサーチは、2024年の世界EVバッテリー市場が前年比20%増の約1,000GWhになると予測。中国勢のシェアは当面50%前後で推移する見通しだが、欧米の政策支援(米インフレ抑制法や欧州の重要原材料法)が長期的な勢力図を変える可能性がある。
日本の電池戦略は、次世代全固体電池の開発に活路を見いだそうとしている。トヨタ自動車は2027〜2028年の実用化を目指すが、量産技術の確立が課題だ。日本勢の復活には、官民連携による大規模投資と、海外市場での生産拠点拡大が不可欠とされる。



