慶応義塾大学大学院教授の小幡績氏は、2026年6月に世界のAI・半導体バブルが崩壊し始めたと確信している。韓国株式市場では26日も一時「サーキットブレーカー」が発動し、不安定な値動きが続いた。小幡氏は、この暴落は2000年のテックバブル崩壊や1980年代の日本株バブル崩壊と多くの共通点を持つと指摘する。
大規模投資が裏目に出る
小幡氏によれば、AIバブルでは実需に基づく大規模な設備投資が行われてきた。しかし、バブル崩壊局面では、これらの投資が無駄になる。データセンターや半導体製造装置、発電・蓄電施設などは価値を失い、処分費用すら発生する。この数年のマクロの設備投資のほとんどが無駄になり、実体経済のGDP成長率トレンドを低下させる可能性がある。
「個々の主体となった企業にも大打撃だが、経済全体、しかも実体経済全体には大打撃だ。この数年のマクロの設備投資のほとんどが無駄になってしまったのだ。戦争兵器に投資してしまったのと同じである」と小幡氏は述べている。
テックバブル崩壊との共通点
小幡氏は、今回のバブル崩壊とテックバブル崩壊に多くの共通点があると指摘する。第1に、ナスダック総合指数が2000年3月10日に史上最高値をつけた直後、長期下落トレンドが始まった。今回も2026年6月に主要指数が史上最高値を世界中で更新した翌日以降に暴落が始まった可能性がある。第2に、下落のきっかけが些細なニュースであることだ。
「きっかけは『韓国ショック』だ。半導体企業SKハイニックスが、汎用メモリーからAIデータセンター向け半導体への生産ライン転換を遅らせる報道があった。これでAI半導体やAIそのものへの収益性の疑問が出て、暴落が始まった」と小幡氏は分析する。
韓国ショックが世界に波及
韓国当局者がシングルストックETFの上場認可を後悔する趣旨の発言をしたことも報じられた。SKハイニックスとサムスン電子でKOSPIの50%以上のウェイトを占める中、個別レバレッジETFが個人投資家のギャンブル的投資に使われ、株価のボラティリティが上昇。これがKOSPI全体のボラティリティ上昇につながった。
しかし、小幡氏は「前者は汎用半導体に生産を傾けたほうが利益率が高いと判断したわけで、全体の収益がむしろ好調であることを示している。後者の話も、当局が認可を撤回するわけではない。そして、アメリカのAI半導体株全体には、韓国株の規制が強化されたとしても関係ない」と指摘。
韓国ショックが世界に広がった背景には、その直前のアメリカ時間22日にスペースXの多額の社債発行ニュースで株価が急落し、AIビジネスの収益性への疑問が再燃したことや、FRBのウォーシュ新議長により金融政策がタカ派に傾くことが改めて材料視されたことがある。
バブル崩壊の典型パターン
小幡氏は「これらの動きはいつも同じだ。バブルをあおっていた材料を、手のひらを返したように悪材料と捉えなおし、何でもないニュースをもイベント化する。これは投資センチメントが極端にナーバスになっていることを示しており、バブル崩壊時の典型だ」と述べる。
今後、7月に入っても市場のナーバスな乱高下は続くだろうが、はっきりと「終わりは始まった」と小幡氏は結論づけている。



