発達障害児向け凹凸ドリルが人気 荒川の印刷会社、工夫凝らした教材・文具
発達障害児向け凹凸ドリルが人気 荒川の印刷会社の教材

荒川区の印刷会社が開発した、発達障害児向けの教材と文具が評判を呼んでいる。読み書きを習得しやすいように凹凸を付けたドリルや、滑り止め加工が施された下敷きが人気で、子供の保護者からは「字を書くことの苦手意識がなくなった」との声が寄せられている。

凹凸で書き方を体感、保護者から好評

国立市の福井友香さん(37)は、発達障害のある長女(8)が使っている「凹凸書字ドリル」について、「鉛筆を持つのも嫌がっていたのに、今は楽しそうに字の練習をしている」と満足そうに話した。

ドリルは曲線や平仮名などを鉛筆でなぞりながら練習でき、字のはみ出しに気づけるように模様や文字の輪郭部分を盛り上げている。指で触れて学習できるのも特徴だ。

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発達障害があると、鉛筆を器用に動かせないことがあり、福井さんは「凹凸があることで、どのように書けばいいのかが簡単に分かる」と話す。自身が主宰する書道教室でも、手先のコントロールが苦手な子供に活用しているという。

印刷技術を応用、累計3万冊を販売

ドリルを開発したのは、荒川区東日暮里の印刷会社「オフィスサニー」社長の高橋淳一さん(55)と、妻で同社役員の晶子さん(55)。同社は1966年に淳一さんの父親が写植屋として創業し、名刺や企業のパンフレットなどを手がけてきた。

淳一さんは2002年に経営を引き継いだ後、点字の印刷にも用いられる「バーコ印刷」に着目。紙に粉をつけて熱処理し、立体的に文字や図形を印刷できる技術で、これを教材に応用できないかと考えた。

その後、発達障害の支援に詳しい作業療法士の鴨下賢一さん(59)と知り合い、鴨下さんからアドバイスを受けながら、17年にドリルを完成させた。

下敷きは累計50万枚のヒットに

高橋さん夫婦は、発達支援に特化した自社ブランド「できるびより」を設立し、凹凸書字ドリルも「なぞり書き編」や「模写編」、「ひらがな・数字編」など計5種類を製作した。平仮名や数字を書けるようになるまで段階的に練習を進めることができ、これまでに計約3万冊を売り上げた。

21年には、鉛筆が滑らずに文字が書きやすくなる「魔法のザラザラ下じき」(A4判、B5判など)を発売。価格は700円前後で普通の下敷きの2~3倍だが、オンラインで販売を開始すると、2日間で約2万枚が売れた。大手文具メーカーと提携して販売網を増やし、計約50万枚を売り上げるヒット商品になった。

23年からは、発達支援グッズを広く知ってもらおうと、他社製品も含めた体験会を全国各地で開催している。実際に手に取って使いやすさを確かめることができ、6月に名古屋市で開催した際は1日で約1000人が来場した。開催回数はすでに80回を超えている。

淳一さんは「子供たちの『できた!』という顔を見るのが一番うれしい。今後も子供の読み書きをサポートできるように、新たな製品の開発を続けていきたい」と意気込んでいる。

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