ソニーの「着るクーラー」ことREON POCKETシリーズの累計販売数が84万点を突破した。2万7000円という価格帯でありながら、都市部や海外で売り上げを伸ばしている。最新モデル「REON POCKET 6」は、冷却効率を高め、目立ちにくさと冷却力を両立している。
「-2℃の進化」 最新モデルREON POCKET 6
REON POCKET 6の最大の進化点について、ソニーサーモテクノロジーの伊藤健二社長は「最も大きいのは、サーモモジュールを1つから交互に駆動する2つにしたことです。冷感の持続に加えて冷却効率を高めており、“-2℃の進化”を実現しています。また、冷却と目立ちにくさを両立し、軽やかな冷却体験に最適化したモデルとなっています」と説明する。
室温35℃の環境で10分経過後の体温を測定したところ、REON POCKET 6は従来モデルよりも-2.2℃高い冷却効果を示した。ペルチェ素子は冷えるが熱を放出するため、新モデルでは排熱口の角度を変えることができる。
毎年春に新商品を投入する同社は、「冷却レベルの強さと持続時間の拡大、そして目立ちにくさ。小型なのにしっかり冷えることを目指してきた」と開発のこだわりを語る。「小型」にこだわるのは、スーツを着たビジネスパーソンが着用しても違和感がないようにするためだ。発売当初から「スーツで働くビジネスパーソンに快適性を届ける」を掲げている。
本体重量約165グラムで、首元に簡単に装着できる。ただし、熱中症対策商品ではなく、あくまで「首元の部分につけて体感温度をコントロールする」ものだ。
開発のきっかけは上海出張、クラファン経て製品化
商品開発のきっかけは、2017年夏に伊藤氏が中国・上海に出張したことだった。「当日の現地は最高気温38℃でしたが、ホテルなどの室内は冷房がガンガンに効いていて寒いほど。気温とのギャップに環境への意識が高まり、『環境課題をテクノロジーで解決する機器』を考え、それが『REON POCKET』の開発につながったのです」と振り返る。
当時、ソニーでカメラの設計を担当していた伊藤氏は、カメラのイメージセンサー冷却用の放熱技術からペルチェ素子の存在を知っていた。開発にあたり、R&Dメンバーと情報共有したという。
その後、ソニー社内の新規事業創出プログラム(現「Sony Acceleration Platform」)に応募し審査を通過。さらに、同社のクラウドファンディング「First Flight」(現在はサービス終了)を通じて実施したクラウドファンディングでは、6日で目標額6600万円に達し、4200台が完売。これにより製品化が決定した。



