フェラーリ・プロサングエ ハンドリング・スペチアーレ試乗:官能性と快適性を両立
フェラーリ・プロサングエ ハンドリング・スペチアーレ試乗

フェラーリの伝統的なオプション、ハンドリング・スペチアーレが新型プロサングエに設定された。サスペンションとギアボックスのソフトウェア変更だけで、リアルスポーツカー並みのドライビングプレジャーを実現したという。イタリアの伝説的なテストコース「バロッコ」で試乗した。

ハンドリング・スペチアーレとは

ハンドリング・スペチアーレは、これまで「カリフォルニアT」や「599」(正式名称はハンドリングGTエヴォルツィオーネ)などに設定されてきたパッケージングオプション。同じフェラーリのオプションであるアセット・フィオラーノに比べると、快適性を維持することにも留意されているのが特徴だ。スタンダードモデルのハンドリングや官能性をより引き上げるために用意された。

プロサングエの場合、725psと716Nmを生み出す排気量6.5リッターの自然吸気V12エンジンには手を加えていない。カナダのマルチマチックと共同開発したアクティブサスペンション「トゥルー・アクティブ・スプール・バルブ(TASV)システム」もハードウェアに変更はなく、1589mmの全高も変わらない。車重やタイヤサイズもそのままで、最高速度310km/h以上、0〜100km/h加速3.3秒、0〜200km/h加速10.6秒、100〜0km/h減速32.8m、200〜0km/h減速129.0mといったスペックはすべて不変だ。

変更点とその効果

外観上は、フェンダーアーチにカーボンファイバーの装飾が施され、テールパイプがマットブラック仕上げとなり、専用ホイールを装着したことなどが目立つ程度。あとはアクティブサスペンションとギアボックスの制御ソフトウェアに改良が施されただけだという。

試乗会に先立って行われたプレゼンテーションでは、コーナリングや加減速に伴うボディの動きが10%減少したほか、シフトスピードそのものが速くなるとともに、ギアボックスのオートマチックモードではコーナー進入の減速時などにより積極的にダウンシフトを行うことで、これまで以上に高回転域を維持する設定になったとの説明があった。

バロッコには数え切れないほどのコースが揃っているが、今回用いたのは「ランゲ」と呼ばれるハンドリングコースで、多少のアップダウンを含んだ公道のワインディングロードに近いレイアウトが特徴。試乗時は雨が上がってからまだそれほど時間が経っておらず、湿った部分が所々に残るコンディションだった。

試乗インプレッション

フェラーリの腕利きドライバーが操るプロサングエに追走する形でテストドライブが始まったが、そのペースは非常に速く、ツイスティーなコースにもかかわらず、路面が湿っている中を130〜140km/hで走行した。追走中、本来であれば怖さを感じるはずの場面でも笑顔が浮かびっぱなしだったという。

クルマの動きが格段に小さく、ステアリングを切り込むと遅れることなくノーズの向きが変わる。ペースを上げていけばタイヤのグリップが薄れ始める様子も伝わってきて、信頼感・安心感が高まる。タイヤがグリップを失っても、ステアリングとスロットルペダルのコントロールでスライドを即座に抑えることができる。車重が2tあることが信じられないくらいのコントロール性で、SUVというよりも完全にリアルスポーツカーの世界だ。プロサングエ本来の快適性も損なわれていない。

自然吸気V12エンジンの咆吼が加わり、8速DCTを制御するソフトウェアが見直されて高回転域を積極的に保つようになった結果、ハイトーンのエンジン音を楽しめる時間がより長くなった。これも官能的な刺激を高めるうえで役立っている。

サスペンションとギアボックスのソフトウェアを変更しただけで、リアルスポーツカー並みのドライビングプレジャーを手に入れたプロサングエ・ハンドリング・スペチアーレ仕様。その事実は、プロサングエというモデルのポテンシャルの高さを物語っている。