小田急電鉄は4月、駅員が装着して動画を撮影する小型ウェアラブルカメラの運用を全70駅で開始した。異常発生時に状況を記録して情報をスムーズに共有したり、乗客による暴言や不当要求といったカスタマーハラスメント(カスハラ)を防いだりするのが狙いだ。導入後の1カ月間、カスハラの報告はなく、早くも効果が数字に表れた。
カメラの仕様と運用方法
カメラは各駅に1~3台配置された。手のひらサイズで約50時間分の映像と音声を記録でき、古いデータから自動で消去される。駅員が構内を見回る際や乗客同士のトラブル対応時など、必要に応じて使用し、表面には「録画中」と赤く表示される。
警備大手ALSOKとの連携
また、警備大手ALSOKと連携。カメラを使用する際は、警備員の応援が必要な場合に同社へ即時通報できる「非常ペンダント」も併せて携帯し、トラブルに素早く対応できる体制を整えた。
導入の背景と効果
小田急はカスハラの件数を公表していないが、増加傾向が続いていたという。防止策として駅構内や車両への防犯カメラ、録音機器の設置を進めてきたが、さらなる対策強化にはウェアラブルカメラが有効と判断した。
導入に向け、2025年8月に世田谷代田駅で複数機種の試験運用を実施。カメラの起動の速さや装着時の安定性などの評価から、韓国リンクフロー社の製品を選定し、先月16日から90台を運用している。
小田急によると、25年4月にはカスハラの報告が4件あったが、運用開始から5月15日までの1カ月間は報告がゼロだった。単純比較はできないが、カメラによる抑止効果が働いたとみられる。
現場からは「乗客に対応する際の心理的負担が軽くなった」「安心感が高まった」と歓迎の声が聞かれる。広報担当者は「引き続き、鉄道の安全性向上と快適な環境づくりに取り組んでいく」と話している。



